神奈川県厚木市で昨年7月、車の中に長女=当時(2)=と長男=同(1)=を放置し、熱中症により死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪に問われた無職、長沢麗奈被告(22)は28日、横浜地裁小田原支部の裁判員裁判初公判で、「間違いないです」と起訴内容を認めた。
検察側の冒頭陳述によると、被告は昨年6月以降、交際相手が住む厚木市内のアパートまで車で移動するようになり、長女の姫梛(ひな)ちゃん、長男の煌翔(こうが)ちゃんを車内に残すこともあった。事件当日もアパートの駐車場に止めた車内でエアコンをつけ、約2時間40分にわたって放置。駐車した場所は屋根など日差しを遮るものはなかった。
被告は車内でぐったりした2人を見つけて119番通報。駐車場所を近くの公園駐車場と伝えて「一緒に車内にいた子供が息をしていない」などと虚偽の説明をして、車を移動させた。
検察側は被告が虚偽の説明をして車を動かしたことや、事件3週間前に煌翔ちゃんを車内に置き去りにした際に警察に注意されていたことを挙げ、「悪質だった」と指摘。弁護側は被告が当時、「エアコンを付けていれば大丈夫」と考えていたとし、日常的な虐待はなく、愛情を持って2人の子供を育てていたと主張した。
裁判では検察側から提出された119番通報時の音声記録が再生された。被告は「一緒にいたのに急に静かになった」「息してない」などと説明し、心臓マッサージの指導を受けながら「煌翔、姫梛、頑張れ」「おいで」などと呼び掛けていた。
被告はグレーのスエット姿に、髪を一つにまとめて出廷し、涙ぐむ姿も見られた。起訴状によると、被告は昨年7月29日、知人宅で過ごそうと、車内に2人を置き去りにして熱中症にさせ、煌翔ちゃんを同日、姫梛ちゃんを8月2日に死亡させた。(橋本愛)