京都市の女子大学生が劇薬のタリウムの摂取によって殺害された事件で、女子大生は、殺人容疑で逮捕された知人の不動産賃貸業、宮本一希容疑者(37)=京都市左京区修学院中林町=と自宅で飲酒後、体調を崩していたことが4日、捜査関係者への取材で分かった。大阪府警は宮本容疑者が、酒にタリウムを混ぜた可能性があるとみて詳しい経緯を調べている。府警は同日、同容疑で宮本容疑者を送検した。
捜査関係者によると、殺害されたのは同市北区の立命館大学3年、浜野日菜子さん(21)。宮本容疑者とは浜野さんのアルバイト先で知り合ったという。
宮本容疑者は任意の事情聴取に対し、昨年10月11日に京都市内で飲食後、バーに立ち寄ってから1人暮らしの浜野さんの自宅に向かったと説明。その後、浜野さん宅で飲酒していたが、「12日(未明)になって浜野さんが咳(せき)込み出した。看病したがおさまらなかったので、朝に浜野さんの両親に迎えにきてもらった」と話した。
府警によると、浜野さんは同12日、大阪府内の病院に心肺停止の状態で搬送され、3日後に死亡が確認された。司法解剖の結果、死因はタリウム中毒による急性呼吸窮迫症候群で、吐瀉物(としゃぶつ)などからタリウムが検出された。
府警が2人で訪れた飲食店や浜野さんの自宅周辺の防犯カメラ映像を確認したところ、徒歩で帰宅する浜野さんが体調不良に陥っていた様子は見られなかった。タリウムの専門家にも意見を聞き、浜野さんがタリウムを摂取したのは、宮本容疑者と自宅で飲酒していた時間帯の12日未明だったと特定した。
タリウムの粉末は水に溶けやすく無味無臭で、少量でも消化器や神経系にダメージを与え、死に至る。府警は浜野さんに気付かれないように宮本容疑者が酒にタリウムを混入させた可能性があるとみて、入手方法や詳しい動機を捜査している。