京都市の女子大学生を殺害した疑いで、知人の男が大阪府警に逮捕された事件で、犯行に使用されたとされるタリウムは自然界に存在する金属の一種で、非常に毒性が強い。毒劇物取締法で一部の化合物は劇物に指定されており、販売業者は購入者の氏名や住所のほか、購入する数量や目的を書面に残すことが義務づけられている。18歳未満は購入できない。成人の致死量は約1グラムで、摂取すると消化器や神経に障害が表れる。
唐木英明・東京大名誉教授(毒性学)によると、タリウムの粉末は水に溶けやすく無味無臭のため、混入に気付きにくい。かつてはネズミを殺す薬として薬局などで販売されていたが、代替薬が流通したことで、現在はほとんど取り扱いがないという。
唐木名誉教授は「研究者が研究用の試薬などとして業者から購入する場合がほとんどで、一般人が購入するのは困難になっている」と指摘する。
タリウムを使った事件は過去にも起きている。
2015年、高校時代に同級生ら2人の飲み物にタリウムを混入し、殺害しようとしたなどとして名古屋大の女子学生が殺人未遂などの容疑で愛知県警などに逮捕された。薬局で年齢を18歳以上と装ってタリウムを購入したとされる。
05年には、母親にタリウムを飲ませて殺害しようとしたとして、静岡県の女子高校生が殺人未遂容疑で同県警に逮捕された。