裁判長「あまりにモノを知らない」「考えが足りない」…2児熱中症死、説諭に涙ぬぐう母親

神奈川県厚木市で昨年7月、車内に放置された幼いきょうだい2人が熱中症で死亡した事件。保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の無職長沢麗奈被告(22)に対し、横浜地裁小田原支部は8日、懲役3年6月(求刑・懲役8年)の判決を言い渡した。木山暢郎裁判長が「あまりにものを知らないし、考えが足りない。自分の世界を広げて更生してほしい」と説諭すると、長沢被告は涙をぬぐった。
判決によると、長沢被告は昨年7月上旬から、交際を始めた男性宅に連日訪れるようになり、冷房をかけた車内に長女の 姫梛 (ひな)ちゃん(当時2歳)と長男の 煌翔 (こうが)ちゃん(当時1歳)を放置することが7、8回あった。
長沢被告は7月29日、姫梛ちゃん、煌翔ちゃんを連れて車で男性宅を訪れた。短時間で帰るつもりだったが、引き留められ、2人を車内に置き去りにして約2時間40分にわたって滞在。2人を熱中症が原因で死亡させた。
木山裁判長は「結果は重大で、交際相手といることを優先したのは非難を免れない」と指摘した一方で、「冷房に過度に期待したことなどの不幸が重なった。犯情は特に重いとは言えない」と判断した。
判決の言い渡し後、木山裁判長は長沢被告に対し、「母として大人として、未熟だったことが悲しい出来事を生んだ。罪を償い、更生してほしい」と語った。