「想定外の決定だ」「対応が甘かった」―。袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定は、検察内部に衝撃を与えた。
検察内部では、前回の高裁決定と同様に再審請求が棄却されると想定していたとみられる。幹部の一人は「大丈夫だろうと考えていた。(再審開始の選択肢を)あまり考えていなかった」と明かした。「(みそに漬け込まれても)血痕に赤みが残る具体例をもっと示せばよかった、という反省は残る。説得力が足りず、対応が甘かった」と話した。
再び捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)の可能性にも言及されたが、「実際に捏造の証拠があるわけではない」とした。
別の幹部は捏造との指摘に関し「起訴した後にわざわざ何のためにタンクに入れるのか」と疑問を呈し、「赤みの程度について厳しく判断したのだろう。最高裁もこれを良しとするのか、判断を仰ぐべきではないか」と語った。
[時事通信社]