埼玉県・富士見市の小学校で、給食のカレーに漂白剤を入れ、学校の業務を妨害した罪に問われている元教師の女の裁判が、今月10日から、さいたま地裁で始まった。担任を外されたことに不満を持った末に、子どもたちの修学旅行を邪魔するため、犯行に及んだという。
半沢彩奈被告(25)は、去年9月15日、当時勤務していた富士見市の水谷東小学校で、6年生の給食のカレーの中に、漂白剤を入れて、修学旅行を延期させるなど、学校の業務を妨害した、威力業務妨害の罪に問われている。ケガ人はいなかった。
冒頭陳述などによると、半沢被告は、2020年から4年生のクラスを受け持ち、翌年も、同じ学年のクラスを担当。2022年4月からも、その学年を持ちあがって、6年生の担任を続けたいとの希望を持っていた。
しかし、その望みはかなわず、3年生のクラス担任に担務替えとなったという。その結果、休職することも考えるようになっていた。そんな中、事件前日、半沢被告は、自分のクラスが学級閉鎖となったことから、6年生の給食の補助の業務を担当したという。
その際、かつての教え子たちと触れ合ったことで、担任を受け持つことができなかった悔しい気持ちが再燃。帰宅途中に、ドラッグストアに立ち寄り、漂白剤を購入したとのこと。
そして事件当日、半沢被告は、6年生が翌日から修学旅行に行くことについて、「自分がいないところで、楽しい思い出を作ることが嫌だ」などと思い、6年生の給食のカレーに漂白剤を入れたという。
法廷で、半沢被告は、当時の心境について、「万全な状態で修学旅行に行かないで欲しいと思った」などと打ち明けている。
事件2日前に、漂白剤を購入するなど、犯行の計画性も疑われたが、半沢被告は「部屋を掃除するつもりで買ったものが、リュックサックに入ったままになっていた」と述べた。弁護側も、突発的な犯行だったと主張している。
これに対して検察側は、押収した半沢被告のスマートフォンを解析結果、事件の10日以上前に、「毒殺 方法」「給食 異物混入」などの検索履歴が残されていたことを明らかにした。
証人尋問では、半沢被告の父親が出廷。父親、母親だけではなく、半沢被告の姉も教師をしていることが明かされた。父親は「6年生の担任を受け持ち、学年を立て直したいと言っていた。担任を外されて、憔悴しきった様子だった」と証言した。
証言台に立った半沢被告は、被告人質問で、「自分が思っていた以上に、(子どもたちに)精神的ショックを与え、あってはならないことをしたと思う。子どもの信頼を裏切り、安全を脅かしてしまい申し訳ない」などと反省の言葉を述べた。
検察側は、懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて、裁判は結審した。判決は今月27日に言い渡される予定だ。