厚生労働省は14日、2022年に自殺した小中高生の確定値について、統計を取り始めた1980年以降で最も多い514人だったと発表した。全ての年代を合わせた自殺者数は、前年比874人増の2万1881人で、2年ぶりに増加した。
警察庁の自殺統計を厚労省がまとめた。小中高生の自殺を年代別にみると、小学生が17人で、中学生は143人、高校生は354人だった。小中高生の自殺者数は、新型コロナウイルスの流行が始まった20年に前年から100人増の499人になり、当時の最多を更新。21年は473人と減少したが、再び増加した。
全体では、男性が1万4746人(同807人増)で13年ぶりに増加した。女性は7135人(同67人増)と3年連続で増えている。全国の自殺者数は03年の約3万4000人をピークに減少傾向だったが、20年に増加に転じて以来、下げ止まっている。
自殺の原因や動機別(複数選択)では多い順に、健康問題1万2774人▽家庭問題4775人▽経済・生活問題4697人――だった。年代別の増加幅では、50代が一番多く、前年比475人増の4093人だった。
都道府県別の人口10万人あたりの自殺者数は、山梨が24・7人で最も高く、秋田(23・7人)、宮崎(22・7人)と続いた。
NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」(東京都)の清水康之代表によると、新型コロナの流行後は学校や自宅などに居場所がない子どもからの相談が目立っているという。ネット交流サービス(SNS)の影響も考えられるとして、清水代表は「学校での人間関係がSNSを通じ、24時間ついてまわってより追い込まれやすくなっている」と指摘。子どもの自殺対策を総合的に推進するため、「学校現場や医療機関、警察が持っている情報を一元的に収集して分析することが重要だ」と指摘する。【中川友希】
相談窓口
・24時間子供SOSダイヤル
いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。
0120・0・78310=年中無休、24時間。
・子どもの人権110番
「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。
0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分
・こころの悩みSOS(https://mainichi.jp/shakai/sos/)
悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。