H3失敗 現主力ロケット運用に影響も 原因は「過電流」か

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、日本の次世代ロケット「H3」初号機が、第2段ロケットのエンジンに着火せず打ち上げに失敗した原因について、エンジンの電気系統に想定外の大きな電流「過電流」が生じ、着火用の電源が遮断された可能性が高いとの見方を、文部科学省の有識者委員会に報告した。
第2段のエンジンの電気系統は、現在の基幹ロケットH2Aと共通で、今後のH2Aの打ち上げ計画に影響する可能性も浮上した。
JAXAによると、第2段の機体全体を制御するシステムは第1段と分離後、エンジンの制御に関わるシステムにエンジン着火を命令する信号を発信したが、直後にエンジン側の電気系統に過電流を検知。電源供給を遮断したため着火装置が働かなかった可能性が高いという。今後は誤検知の可能性も含め、過電流の発生原因を詳しく調べる。
また、第2段のエンジン側の電気系統が共通しているH2Aの次の打ち上げについては、H3の打ち上げ失敗の原因が何らかの影響を与えるかどうか、詳細に評価した上で臨むとしている。H2Aは、47号機が令和5年度に打ち上げられる計画だが、H3失敗の原因によっては影響が生じる可能性も出てきたといえる。