ガーシー前議員、警視庁が逮捕状請求…著名人への常習的脅迫容疑

国会に一度も登院しないまま参院議員を「除名」されたガーシー(本名・東谷義和)前議員(51)について、警視庁は16日、著名人らに対する名誉 毀損 (きそん)や暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで逮捕状を請求した。前議員はアラブ首長国連邦(UAE)に滞在しているとみられ、警察庁は近く旅券返納命令を出すよう外務省に要請し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する方針だ。
捜査関係者によると、前議員は昨年2~8月、日本の芸能人と会社経営者ら3人に対し、ユーチューブに配信した動画で、脅迫や名誉 毀損 (きそん)にあたる発言を繰り返すなどした疑い。
警視庁は動画を作成・編集していた40歳代の会社経営者の男についても、名誉毀損容疑などで逮捕状を請求した。この男もUAEに滞在しているとみられる。
警視庁は昨年12月以降、前議員に複数回にわたって任意の聴取を要請し、今年1月には動画配信の広告収入を管理する会社の実質代表宅を捜索するなどして捜査を進めていた。前議員が再三の聴取要請に応じず、その後も著名人らを脅すような動画を配信し続けたことなどを踏まえ、逮捕が必要と判断した。
前議員は昨年7月の参院選に当時のNHK党(現・政治家女子48党)から立候補して初当選したが、「不当逮捕の恐れがある」などとして帰国せず、一度も国会に登院しなかった。参院は2月22日の本会議で「議場での陳謝」を科す懲罰を決定したが、前議員はこれにも応じず、今月15日の本会議で「除名」とする懲罰が可決され、議員の身分を 剥奪 (はくだつ)された。
前議員は「除名」を受けて15日に配信した動画で、「議員であることにそこまで執着していなかった」とし、「このまま一生日本に帰らないかもしれない。実業家として、配信家としてやっていきたい」などと話している。
前議員は昨年2月にユーチューブチャンネルを開設。過去に交流があった芸能人の私生活などについて語る「暴露系ユーチューバー」として活動していた。警視庁は、過激な内容の投稿で動画再生回数を伸ばし、多額の広告収入を得ていたとみている。