「70年前埋設の送水管で地価下落」市民の撤去請求を棄却 地裁

約70年前に埋設された送水管の影響で地価が下がるなど所有権を侵害されたとして、大分県佐伯市民9人が送水管を所有する「興人ライフサイエンス」(東京)にその撤去や年約1276万円の損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁は17日、送水管の撤去の請求を棄却した。一方で、原告7人に口頭弁論終結日までの損害金約24万円と送水管が撤去されるまでの間、年約4万6000円を支払うよう命じた。
送水管は同市東浜の同社佐伯工場が取水するため同市女島など全長約7キロ、地下約1~1・5メートルに埋設。原告らは、被告は他人の土地を利用する「地役権」の登記をしておらず、送水管の存在は周知の事実ではないため地役権は認められないと主張。その上で約70年前に設置した送水管は耐用年数を過ぎており、地役権の存続期間は終わっていると訴えていた。
判決で、石村智裁判長は、被告は地役権を登記していないから認められず、原告は占用料を徴収できると指摘。一方、原告は土地を被告に使用される不都合を立証しておらず、送水管の撤去には多大な費用を要し、認められないとした。
原告代理人の渡辺耕太弁護士は「原告が求める安全性の確保や財産が不当に毀損(きそん)されていることへの補償は認められなかった。一方で大企業が70年に渡り違法な状態で創業してきたことを認めたことは大きい」と話した。同社は「主張が認められていない部分があり、判決内容を精査して対応を検討する」とコメントした。【井土映美】