岸田首相の危険すぎるダダ漏れ体質 到着前に速報されたウクライナ極秘訪問

21日にウクライナを電撃訪問した岸田文雄首相は同日、帰途に就いた。首都キーウで行われたゼレンスキー大統領との首脳会談では経済支援などを表明。先進7か国(G7)首脳として最も遅くなったウクライナ入りを巡っては、極秘裏に行われるはずだった首脳会談の情報が、到着前から漏れてしまった。これには政府与党側から「身の安全が保証できない」「なんで戻ってから報じないのか」との声が噴出し、情報・危機管理のあり方が問われる事態となっている。
会談で岸田首相は、エネルギー分野などで新たに4億7000万ドル(約620億円)の無償支援を供与すると表明。ゼレンスキー氏に5月のG7広島サミットへのオンライン出席を招待することなども明らかにした。
インドを訪問していた岸田首相のウクライナ訪問は、日本テレビが経由地のポーランドでの姿をカメラに収め、スクープとして報じた。その後、各社一斉に後追い。TBS系で放送されていたWBC準決勝の日本VSメキシコ戦の9回裏、1点を追う日本の攻撃で村上宗隆の打席というクライマックスシーンに「電撃訪問」の緊急速報の字幕スーパーが飛び込み、ネット上では「いいところで邪魔」「狙っていた?」などと話題となった。
G7サミットの議長国として、ウクライナ訪問は岸田首相の悲願で、昨年から何度も検討されてきた。
「海外に渡航する際には国会の事前承認が必要との慣例があり、昨年の参院選前の訪問が計画された際には、1年生議員にまで情報がダダ漏れでした。ようやく今年になって柔軟に対応するとなって、今回の電撃訪問となった。インドに同行していた記者はほとんどが出し抜かれた格好ですが、それでもキーウに到着する前に漏れた」(自民党関係者)
キーウはいまだミサイルが飛来する戦争状態にある。事前に渡航情報が漏れれば、道中や滞在中に身の危険が及ぶ可能性は十分にある。2月にキーウを訪問したバイデン米大統領や1月に再度訪れたジョンソン元英首相らは、到着まで報道を禁じる徹底ぶりだった。
それだけに、河野太郎デジタル相はツイッターで「なんで総理が安全な地域に戻ってから、報道しないのかな。行きますというのを半日早く報道することに社会的な意義があると思っているのかな」と非難した。
元防衛相で自民党の小野寺五典安全保障調査会長もツイッターで「ゼレンスキー大統領との直接会談は大変有意義です。しかも中国の周主席(※編集注・習主席)が訪露、プーチン大統領との会談直後のタイミングで重要です。総理が列車移動中でのマスコミ報道合戦、危機管理が憂慮されます」と憂いた。
もっとも、永田町ではこのタイミングでのキーウ訪問はある程度予想はついていたという。
「インド訪問の日程について、余裕が持たれていたことで、怪しいと勘繰られていました。報道協定を結んでも、どこからか漏れてしまうのはこれまでの経緯を見れば明らか。キーウ訪問は超特ダネですから各社、日テレにしてやられたと悔やんでいるのと同時に誰がリークしたのかと勘繰っていますよ」(前同)
事前の情報漏れで、岸田首相の身の安全は保証されなかったとはいえ、日本がサヨナラ勝ちしたWBCの試合後に一報が流れていたら、せっかくのキーウ訪問の話題もかき消されていたかもしれない。日本中がくぎ付けとなっていたWBCの放送中に速報が流れたことで、広く国民にキーウ訪問が伝わったことは、不幸中の幸いだったともいえそうだ。