近畿大の事務職員だった男性(当時40歳)が8年前に自殺したのは過労が原因だとして、男性の妻が労災認定しなかった国の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、大阪地裁は23日、請求を棄却した。横田昌紀裁判長は当時の業務内容や業務量を踏まえ、自殺との因果関係は認められないと判断した。
判決などによると、男性は2015年4月に総務部の課長補佐になり、卒業生が加入する校友会との連絡調整を担当。卒業生らが集まるイベントの準備などをしていた同年7月8日夜、職場で命を絶った。男性は「生きてるのがしんどくなりました」などとする遺書を残していた。
妻側は、男性が15年7月初旬にうつ病を発症しており、発症直前1カ月の時間外労働は海外出張などを含めて160時間を超えていたと訴えていた。
横田裁判長は、医師の意見書などを基に男性が同年6月上旬に適応障害を発症していたと認定したが、発症前1カ月の残業時間は82時間で心理的負荷は強くなかったと判断。課長補佐に昇進した後も業務内容や業務量に大きな変化はなかったなどと結論付けた。
東大阪労働基準監督署も17年8月、男性がストレスなどによる精神障害を発症していたとしたが、発症直前の残業時間を考慮して労災要件に該当しないとしていた。【山本康介】