京都府亀岡市の保津川(桂川)で28日、川下りの舟が転覆し、川に投げ出された男性船頭が死亡、別の船頭1人の行方が分からなくなっている事故で、府警と地元消防は29日も捜索を続けた。投げ出された乗客らは最大で約400メートル下流まで流されたといい、運輸安全委員会は船舶事故調査官2人を現地に派遣し、事故原因を調べている。
事故は28日午前11時ごろに発生。舟には、子ども3人を含む乗客25人と船頭4人の計29人が乗っていた。京都中部広域消防組合によると、投げ出された乗客らは最大で約400メートル下流まで流されたという。大半は川岸に自力で上がり、後続の舟などに救助された。
運航する保津川遊船企業組合(同市)は29日午後、記者会見を開き、組合の豊田知八代表理事が謝罪した。
船頭らに聞き取りを行った組合の説明によると、前方に3人、船尾に1人配置していた船頭のうち、船尾の船頭が棒状のかじで水を捉えられず空振りする「空舵(からかじ)」と呼ばれるミスでバランスを崩し、川に転落。方向操作を保つため、別の船頭がかじを取りに行ったが間に合わず、正面から岩に衝突し転覆したという。死亡した田中三郎さん(51)は船首でさおを握っていた。行方が分からないのは、かじを取りに行った男性船頭(40代)だという。
別の理事は事故原因について空舵だとした上で、空舵が起きた理由については「本人の操船の問題か自然のことなのか、確実なことは言えない」と述べた。最初に転落した船頭は「空舵をして申し訳ない」と話し、責任を感じている様子だという。
また、組合の関係者が119番したのは、事故発生の無線連絡があってから約20分後だったことも判明。理事は「無線の内容が本当か、他の舟に確認する必要があった」と釈明した。
一方、29日に現地へ入った調査官は、引き揚げられた舟の状態などを確認。舟は船首の左側が大きく壊れており、岩との衝突の激しさを物語っていた。【千金良航太郎、中島怜子】