〈写真・LINE入手〉「警視正」と書かれた手帳を持ち「俺は公安の警察官僚や」 結婚詐欺で逮捕されたニセ警察官を被害女性が告発

「公安の警察官僚」を名乗り“結婚詐欺”を働いたとして、大阪市の男が3月10日、大阪府警生野署に逮捕されていたことが「 週刊文春 」の取材でわかった。被害女性が男の写真やLINEとともに、小誌に告発した。
「実は俺は、公安の警察官僚や」デートに制服姿で来ることも
詐欺容疑で逮捕されたのは大阪市生野区の吉川剛司容疑者(36)。結婚の意思がないのに30代の会社員、A子さんと婚約し、繰り返し金を要求して詐取。被害額は約280万円にのぼるという。
A子さんとの出会いは2019年1月、マッチングアプリ「Tinder」だった。吉川容疑者は当時、自身の“仕事”をこう明かしたという。
「実は俺は、公安の警察官僚や。今は大阪府警外事課に出向で来ている」
A子さんが振り返る。
「デートに制服姿で来ることもありました。時には拳銃らしきものを装備していて、『警視正』と階級が書かれた警察手帳も持っていた」
都合が悪くなると『秘匿や』『カモフラージュや』と言い訳
同年秋、A子さんが知人の海外でのトラブルを相談すると、吉川容疑者は「俺が捜査員を派遣する」と豪語。しかし直後に「私情で捜査員を動かしたせいで懲罰や。口座も凍結された」と言い出し、罪悪感に苛まれたA子さんは25万円を手渡した。
「そこから『金に困った』と無心され続けました。さらに『妹を白血病で亡くした』『バディを喪った』などと打ち明けられ、『私が支えなくては』と……」(同前)
2021年には婚約したが、吉川容疑者は前後して「同僚に借金を返さないと懲罰になる」と120万円、「あなたの家族が警察の身辺調査に引っかかったので裏工作が必要」と50万円を要求。一方で、LINEで高級そうな料理の写真と共に〈長官とごはん〉というメッセージをA子さんに送り付け、銀座で警察庁長官と食事しているかのように見せるなど“偽装”を続けた。
A子さんは時に疑念を抱くこともあったが、「彼は都合が悪くなると『秘匿や』『カモフラージュや』と公安警察らしい言い訳をしたのです」(同前)。
吉川容疑者の妻からの連絡で全てが虚偽と発覚
そんな中、2022年12月にSNSを通じてA子さんに衝撃の連絡があった。
「『私は吉川の妻です』という女性からでした。私と交際中に結婚していたんです。奥様に対しても『警察官』と騙していました。経歴や境遇はすべて虚偽で、職業はトラック運転手だったのです」(同前)
すべてが露見してA子さんが被害届を出し、逮捕に至った。制服や手帳などの入手経路について、捜査関係者が語る。
「実は彼の親類には警察官がいる。全てがマニア用の警察グッズとは限らず、一部本物の可能性もある。慎重に調べています」
3月29日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および3月30日(木)発売の「週刊文春」では、吉川容疑者が出身と偽っていた名門校の名前や「警備の指揮を執った」と自慢した巨大イベント、女性から金を詐取するために作った驚くべき理由、草野球仲間に語っていた首相との密接な関係などについて報じる。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月6日号)