3電力に課徴金命令 1010億円超、過去最高額 公取委

企業や官公庁向けの電力販売で大手電力会社が相互に顧客獲得を制限するカルテルを結んだとして、公正取引委員会は30日、中部電力(名古屋市)▽中国電力(広島市)▽九州電力(福岡市)――の3社側に独占禁止法違反(不当な取引制限)で、過去最高額となる計1010億円超の課徴金納付命令と、違反の再発防止を求める排除措置命令を出した。
公取委は関西電力(大阪市)の違反も認定したが、同社は2020年10月、公取委の調査開始前に違反を自主申告しており、課徴金減免制度(リーニエンシー)の適用などにより両命令を免れた。
3社側は企業数では5社で、中部電のグループ会社「中部電力ミライズ」(名古屋市)と、九電のグループ会社「九電みらいエナジー」(福岡市)の2社を含む。5社のうち、既に営業活動をミライズに移管している中部電は排除措置命令は対象外、違反行為による売り上げがなかった九電みらいエナジーは課徴金納付命令は対象外となった。他の3社は課徴金納付と排除措置の両命令を受けた。
認定された違反行為は、関電が18年11月までに、中部電▽中国電▽九電――との間でそれぞれ互いの供給区域での顧客獲得営業を控えることで合意したとしている。合意には当時の副社長や専務が関わり、関係者によると中部電の林欣吾社長や関電の森本孝前社長(現・特別顧問)が含まれる。合意当時、多くの社の社長も報告を受けて認識していたとみられる。
国は消費者側の選択肢が広がるよう、00~16年に企業向けから家庭向けまで電力販売を順次自由化。公取委は関電が17年ごろから区域外営業を強めたのを機に各社が安値で対抗し、下がった利益水準を引き上げようとカルテルを結んだとみている。合意は20年10月まで続いたとみられる。公取委は「カルテル締結後に電気料金が上がったことを確認した」としている。
公取委による課徴金納付命令の過去の最高額は、19年にアスファルト合材を巡るカルテルで8社に命じた398億円超だった。今回は、中国電が707億円超▽中部電側が275億円超▽九電が27億円超。うち九電は公取委の調査開始後に違反を自主申告しており、減免制度に基づき調査への協力度合いも反映されて計30%減額された。
公取委は30日、電力業界には他社の顧客へ営業する際に事前に伝える「仁義切り」の慣習が続く▽新電力会社に対し自社の供給域で営業しないよう強制している――など競争上好ましくない事例も確認したとし、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会に情報提供した。【柿崎誠】