取り調べ一部「悪質」も不起訴妥当 無罪の前不動産社長の訴え棄却 大阪地裁

大阪地検特捜部が起訴した業務上横領事件で無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍前社長(60)が、違法な取り調べをしたとして検察官に対する刑事裁判を開くよう求めた「付審判請求」について、大阪地裁(佐藤弘規裁判長)が退ける決定をしたことが1日、分かった。決定は3月31日付。一方で地裁は、一部の捜査について「取り調べの範囲を超えて悪質」と強く非難した。
山岸氏は学校法人明浄学院の法人資金21億円を横領したとして逮捕、起訴されたが、令和3年10月、大阪地裁が「元部下の供述は信用できない」として無罪判決を言い渡し確定。この元部下への取り調べが特別公務員暴行陵虐罪にあたると告発したが不起訴となった。
佐藤裁判長は決定理由で、検察官が机をたたき、約50分間にわたり一方的に責め続けたなどの取り調べは「精神的苦痛を与える行為で(同罪の)嫌疑が認められる」と指摘。しかし、こうした行為は取り調べの一部にとどまるなどの理由で「不起訴処分は結論において正当」と判断した。
山岸氏の弁護団は「嫌疑を認めたのは重要な指摘で、検察庁は処分や再発防止策を早急に検討すべきだ」としつつ、決定は不服として抗告を検討するという。