ムツゴロウの愛称で親しまれた畑正憲さんの訃報に、畑さんと親交のあった九州の人たちも悼んだ。
畑さんと40年以上の付き合いがあったというミュージシャン、藤本祐治さん(67)=北九州市戸畑区=は「入退院を繰り返していたので覚悟はしていたが……」と声を詰まらせた。
藤本さんは畑さんの著作に感銘を受け、25歳の時に北海道の「ムツゴロウ動物王国」に参加。共に動物を世話する中で「人間も動物も植物も隔たりはない。愛があれば必ず伝わる」と学んだという。2019年に戸畑区に帰郷後も「動物愛」を歌う活動を続ける。
畑さんと最後に会ったのは22年10月、畑さんの北海道の自宅を訪ねた時だった。畑さんは体を横にしていたが、元気そうに見え「君は音楽を頑張れよ。俺も頑張るから」と握手を交わしながら話したという。
「動物愛にあふれた人だった。ムツさんに会えてよかった」。藤本さんはしみじみと語った。
畑さんは中学・高校時代を、父親の郷里である大分県日田市で過ごした。いとこに当たる桜木恭子さん(81)=同市=は「昔から動物好きで、記憶力も抜群。東大に合格した時は地元で話題になった」と懐かしむ。「最近は交流する機会が減っていたが、最後にもう一度会いたかった。本当に残念だ」と肩を落とした。
畑さんの母校、県立日田高の同窓会長、伊藤哲司さん(63)は「伝説の先輩だった」と振り返る。「とにかくよく本を読む人だった」といい、学校の図書室にある哲学書や辞典など、あらゆる本の図書カードには畑さんの名前が残されていたという。
13年には、同校の後輩たちを前に講演もした畑さん。伊藤さんは「どんな分野でも、希望を持ち続ければ夢はかなうことを示してくれた。これからも後輩たちの希望であり続ける」と話した。【平川昌範、城島勇人】