「昔の借金の返済催促には注意して」――。宮崎県弁護士会が見覚えのない債権回収会社からの督促状への対応に注意を呼び掛けている。一定の条件がそろい債務者が時効を申告すれば借金が消滅する「消滅時効制度」があるが、それを知らない多重債務者や遺族の元に督促状が送られトラブルに発展するといった相談が急増しているという。【塩月由香】
3月16日、宮崎市内の県弁護士会館の一室。待機する2人の弁護士が次々にかかる電話の対応に追われた。同会主催の無料電話相談「昔の借金110番」で、2019年に続き4年ぶり2回目。前回同様、平日4時間の開催だったが、前回(9件)の倍近い17件の相談があった。
多重債務を巡ってはヤミ金融からの取り立てを苦にした自殺が社会問題化し、06年に改正貸金業法が成立し金利規制が強化。10年には年収の3分の1を超える貸し付けを原則、禁じる「総量規制」が始まった。一方で未回収の債権を巡り、債権回収会社が債務者や遺族へ1週間以内の連絡を求める督促状を送ったり、貸金返還請求訴訟を起こしたりする動きが出てきた。
支払いなど最後の取引から5年または10年たった場合、債務者が時効を申告すれば消滅時効が成立する。債権回収会社が督促状を送ること自体は合法だが、記載の番号に問い合わせたことで債権の存在を認めたとみなされ、時効までの年数換算がゼロに戻る恐れもあるという。
110番の電話の主は50~60代の男性が多く、35年前の借金の返済を求められたという相談も。裁判を起こされたという相談者には、時効を主張する答弁書を書いて出すよう助言していた。
同弁護士会消費者問題対策委員会委員長の大山和伸弁護士は「最後の取引から10年、20年たった『時効』の事案の相談がこの1年で目立ってきた。放置されていた未回収債権を安く買い取った別の会社が手当たり次第に督促状を送り、回収を試みる動きが活発化しているのでは」と急増の背景を推察する。
当初の倍の借金を背負うなど、債務者が不利益を被る場合もあり同会は「督促状が届いた時点で無料の窓口を利用してほしい」と呼びかけている。平日は当番弁護士が借金の無料相談を受け付けている。問い合わせは同会(0985・22・2466)。