岸田首相襲撃の衝撃、木村容疑者〝素顔〟「普通の青年」「おとなしい子」 自宅で爆発物自作? 安倍元首相暗殺、山上被告〝同情論〟がテロ誘発か

近所では「普通の青年」「おとなしい子」
岸田文雄首相の選挙応援演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕された無職、木村隆二容疑者(24)の「素顔」が明らかになってきている。「普通の青年」という感想が聞かれる一方、自宅で爆発物を自作した疑いが浮上している。昨年7月、安倍晋三元首相が奈良市での応援演説中に暗殺されてから1年もたたないうちに、民主主義の根幹である選挙中に再び凶行が起きた。識者は、テロ犯に同情するような言論・風潮が事件を許した可能性もあると警鐘を鳴らす。
「弁護士が来てからお話しします」
木村容疑者は逮捕直後にこう供述し、その後も黙秘を続けている。和歌山県警は17日、送検した。
依然、黙秘続ける
襲撃現場である和歌山市の漁港から約100キロ離れた兵庫県川西市に、木村容疑者の自宅がある。近所で特にトラブルは確認されておらず、人々は「家のことを手伝う、おとなしい真面目な青年」「優しい顔でおとなしい子だなという印象」などと容疑者について話す。
だが、事件現場で木村容疑者を取り押さえた和歌山市の漁師の男性(54)は報道陣の取材に対し、「無抵抗だったけど、手に持っていたものを放さなかった」と証言した。容疑者が持っていたものは後にパイプ状の爆発物と分かった。
和歌山県警が16日に行った家宅捜索では、自宅から金属製とみられる管や工具類、火薬の可能性がある粉末が押収された。県警は、木村容疑者がこれらを使ってパイプ爆弾などを自作した疑いもあるとみて捜査を進めている。犯行当時、木村容疑者が刃渡り約13センチの果物ナイフを所持していたことも判明した。爆発物以外の凶器も用意したうえで岸田首相を襲撃しようとした可能性がある。
有本香氏「絶対に許されない」メディアの姿勢必要
政治家をターゲットにしたテロ事件が再び発生した背景として、日本社会の一部が「テロ犯に甘い」ことが関係しているとみる意見もある。
例えば、安倍元首相暗殺事件では、山上徹也被告が「家庭がめちゃくちゃになった」と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みを供述したため、一部のメディアや識者が被告に同情したような、旧統一教会に偏重した発信を続けた。減刑を求める署名運動がネットで行われる動きまであった。
ジャーナリストの有本香氏=顔写真=は「山上被告に対する一部の報道や発信が、今回の事件に影響した可能性はある。『犯人にはこんな事情があった。かわいそうだった』という風潮が広まれば、『テロも許される』と理解する人物も出かねない。安倍元首相暗殺事件では、一部メディアが、すぐに旧統一教会問題に話を置き換え、『統一教会という悪い存在と付き合っていた政治家なんだから』という方向に持っていこうとしている感じがした。犯人にどういう背景があったとしても、『テロは絶対に許されない』『社会として容認してはいけない』という強い姿勢の報道や発信が主流を占めるべきだった」と話した。