「遺族を二度とつくらないで」 福知山線脱線事故18年

兵庫県尼崎市で平成17年4月、乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故から18年となった25日、事故現場を訪れた遺族はあの日のことを悔やみ、流れた月日の長さを痛感した。JR西日本を巡っては今年1月の大雪での立ち往生をはじめ、安全に関わるトラブルが続発している。JR西の体質はいまなお変わっていないのではないかと、疑念を抱く遺族もいた。
神戸市北区の上田弘志さん(68)は次男の昌毅(まさき)さん=当時(18)=を失った。この間、息子が生きた18年とほぼ同じ歳月が流れた。「大きな節目の18年です。事故がなければ昌毅も結婚して、孫も生まれて、楽しい18年やったやろなと思う」
懸念は事故の風化だという。JR西と何度も向き合い、安全を求め続けてきた上田さん。しかし自身を含め、遺族らの高齢化は止められない。「事故当日のできごとを時系列で説明できない社員が多くなった」と感じることもある。
事故を教訓に、JR西はここまで変わった-。昌毅さんに早くそう言えるようになりたい。
長女の中村道子さん=当時(40)=を亡くした藤崎光子さん(83)=大阪市城東区=はこの日、現場近くに足を運んだが、JR西主催の追悼慰霊式には参列しなかった。
加害企業の安全意識に対する不信感は今も払拭しきれない。今年1月には、大雪による電車の立ち往生で車内に閉じ込められた乗客の安全を危険にさらす事態を引き起こした。「会社の体質は変わっていない」と痛感するという。
「遺族と呼ばれる人間を、二度とつくらないでほしい」
道子さんの写真を携えながら、藤崎さんは改めてそう訴えた。