政府は28日、有事の際、自衛隊と海上保安庁の連携手順となる「統制要領」を決定し、概要を公表した。防衛相が海保長官を指揮し、海保は住民避難や海上での捜索・救難などを担う。5月以降、武力攻撃事態を想定した共同訓練を初めて行い、連携強化を図る方針だ。
統制要領は、武力攻撃事態下の自衛隊と海保の協力内容を盛り込んだ初の運用指針となる。
防衛相が指揮する対象は、海保トップの長官に限定し、巡視船などへの指示は長官が行う。統制要領では、海保の軍隊としての機能を否定する海保法25条の考え方を維持し、軍とは異なる法執行機関との位置づけを明確化した。
海保の具体的な活動例としては、〈1〉住民避難〈2〉捜索・救難〈3〉船舶への情報提供や避難支援〈4〉港湾施設などのテロ警戒〈5〉大量避難民への対応――を挙げた。
有事では、相手国によるミサイル攻撃や 島嶼 (とうしょ)部への上陸などの軍事行動が確認された場合、自衛隊が防衛措置を講じる一方、海保は住民避難などの後方支援に専念する。自衛隊が防衛措置と住民避難を同時に行うのは困難で、「役割分担を明示し、各組織の強みを最大限に発揮させる」(防衛省幹部)狙いがある。
自衛隊法80条には、有事での防衛相による海保の指揮が明記されているものの、具体的な手順が定められていないことが長年の課題となっていた。政府は昨年末に改定した国家安全保障戦略に「連携・協力を不断に強化する」と掲げ、統制要領の策定に着手した。
今後、自衛隊と海保は共同で5月に机上訓練、6月に実動訓練を予定している。いずれも沖縄県・尖閣諸島周辺海域などでの有事を含む武力攻撃事態を想定したものとなる見通しだ。