外国人の送還や収容のルールを見直す入管難民法(出入国管理及び難民認定法)の改正作業が〝佳境〟に入った。
2021年4月、当時の菅義偉政権が同法改正に挑んだものの、野党と大メディアのミスリードで頓挫した。その再チャレンジである。
2年前は、不法滞在で摘発され送還が決まっていたスリランカ人女性が、収容施設で死亡するという不幸な一件を、野党とメディアが徹底的に政治利用した。
悪辣(あくらつ)な入管、不幸な女性…という構図を描き、入管難民法改正は「悪」と決めつけたネガティブキャンペーンにより、菅内閣は支持率を大きく落とす事態にまで陥った。
今回、岸田文雄内閣は修正案を野党に提示した。ソフトランディングを狙っているが、野党は再び、一部メディアと組んで、徹底抗戦を仕掛けてくるだろう。この抗戦を今回は、国民の良識で迎え撃つ必要がある。
そもそも、国民の多くが「なぜ入管難民法改正が必要か」を理解していない。だから、2年前にはまんまと騙されてしまった。同じ轍を踏まないよう、改正趣旨の「キモ」を概説しよう。
まず、わが国での在留資格がないまま、不法滞在している外国人の数は、21年1月1日時点で8万2868人に上った。
その後、コロナ禍の影響もあり減少したが、今後は入国者の増大とともに増えることが見込まれている。
この不法滞在者のうち、摘発されて国外退去が決定したにもかかわらず、送還を拒んでいる者(送還忌避者という)が、現在、4233人。これはコロナ禍で不法滞在者が減った中でも、年40%近く増えている。
ところが、現行法(入管難民法)では、この送還忌避者を強制的に国外退去させることが困難となっている。
その理由の一つが、いわゆる「難民申請」にある。
いまの入管難民法では、難民認定手続中の者は、一律に送還が停止される。たとえ重大な罪を犯した者でも、テロリストでも、難民申請をしさえすれば一律に送還が停止されるのだ。
この説明だけで既に、どれほど〝お花畑〟な法律かが分かるだろう。さらに難民申請は何度でもでき、その理由はさほど問われない。
中には、「帰国したら親族から暴力を受ける可能性がある」などという、バカげたものまであると聞く。
自国の警察に相談せよ、という案件だが、いかに日本の難民申請が虚仮(コケ)にされているかを物語る話だ。
よく、「日本は難民認定に時間がかかり過ぎる」「日本は難民認定数が少な過ぎる」という、もっともらしい意見を聞くが、この一因は、適切に門前払いをしてこなかったことにもある(=現在はやや改善されている)。