陸上自衛隊の輸送機オスプレイ17機を佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、配備予定地の地権者による地元漁協の土地の管理運営協議会は1日、佐賀県有明海漁協南川副支所(同市)で臨時総会を開き、地権者の3分の2以上の賛成で予定地の売却を決議した。防衛省と漁協との間で売買手続きが進められることになり、配備に向けて本格的に動き出した。ただ、売却に反対する地権者らが法的措置を含めた対応も検討しており、今後は曲折も予想される。
地権者の多くは同支所のノリ漁師や元ノリ漁師。漁協の組合員が159人、非組合員が95人の計254人で、配備予定地33ヘクタールのうち県有地を除く31ヘクタールを共有している。土地は県有明海漁協の所有として登記され、地権者には「持分証券」が発行されて個々の持ち分面積が示されているが、共有地のため、個々が所有する場所は定められていない。
臨時総会は非公開であった。協議会によると、書面で回答した人を含めて投票総数は239票。無効の6票を除く233票のうち、売却賛成が184票、反対が49票だった。賛成が地権者の3分の2以上となった場合に売却すると事前に決めており、賛成が7割超とこの基準を満たした。
総会後、協議会の議長を務めた同支所の田中浩人・運営委員長は「一定の方向性が決まった。今後の手続きは(漁協の)本所と一緒にやっていく」と述べた。
計画に反対する地権者の古賀初次(はつじ)さん(74)は、議決を見送るよう求める意見書を協議会に送付していた。古賀さんは「今は頭が真っ白で対応までは考えていない。法的問題は私だけでは荷が重すぎるが、土地は売らない」と憤りをみせた。
配備計画は2014年に防衛省から佐賀県に打診され、ノリ漁への影響を懸念する漁協が反対していたが、22年11月に方針を転換。防衛省は23年3月、「1平方メートル当たり6031円」とする買収価格を提示し、地権者宅を訪問するなど買収交渉を本格化させていた。【斎藤毅、五十嵐隆浩、山口響】