冠水路の運転は危険、水深浅くてもトラブル 九州北部大雨で犠牲者相次ぐ

九州北部を襲った大雨では、佐賀、福岡両県で車ごと流された人が相次いで犠牲になった。冠水や水没に伴うドライバーからの救援依頼は両県で320件超。日本自動車連盟(JAF)九州本部は、路上の水深にかかわらずエンジンが浸水すれば車は動かなくなる恐れがあるとして「冠水した道路では車に乗らないでほしい」と注意を呼びかけている。
JR佐賀駅近くの路上でトラックが動かなくなった運送会社の男性(47)によると、冠水した道路をゆっくり走っていたところ、対向車の水しぶきを浴びた直後にトラックが停止し、エンジンがかからなくなった。「トラックは普通車よりも車高が高いので大丈夫だと思ったが」と驚く。
同本部は、走行時にはね上げるなどした水がエンジンの吸気口から中に入れば、故障につながると指摘。水深が浅くてもトラブルは起きうるとする。
また、JAFのテストでは、セダンタイプの乗用車でドアノブ付近(高さ80センチ前後)まで水没するとドアが開きにくくなる結果が出た。電気系統が故障すればパワーウインドーも開かないため、JAFは窓をたたき割るハンマーを車内に備えるよう呼びかけている。
車が駐車場などで浸水した場合も、エンジンをかけた際に漏電による故障や火災になる恐れがある。JAF九州本部の広報担当の永松純一さん(50)は「翌日以降水が引いても、すぐエンジンをかけず、自動車整備工場などで点検してほしい」と話している。【青木絵美、一宮俊介】