業界騒然!セブンイレブンで「オリジナル新書」がスタートする理由 新しい好循環へ

いま出版業界でこれまでの常識では考えらないような新しい「ヒットの形」が生まれ始めている。最近は100円ショップやコンビニから「ベストセラー」が誕生しているのだ。そうした中、日本最大のコンビニチェーン・セブン‐イレブンが10月からグループ限定オリジナル書籍の新書シリーズを発売することがわかった。その狙いとは、業界への影響とは――。その最新動向に迫った。
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いま全国の書店数は1万1446店(5/1時点、アルメディア)。実際に店舗を持つ店の数で見れば1万174店で、20年前に2万2296店あった書店数はほぼ半減した。中でもかつて半分以上を占めていた、個人経営などの小規模書店の比率が低下している。
そうした状況を指して出版不況と指摘する向きもあるが、じつはそうとは言い切れないまったく新しい事態が起きていることをご存じだろうか。
これまでの常識では考えられないが、ここへきて、従来とは違った場所からベストセラーが生まれるという面白い動きが出始めているのだ。しかも、それが書店販売との相互作用で出版をさらに盛り上げていく可能性を秘めているというから興味深い。

たとえば、100円ショップの「ダイソー」。
大創出版が企画製作を担い、1冊100円で「ダイソー」内で書籍を販売している。ペン字習字やパズル、幼児モノなどが人気で、年間約1700万部を発行し、累計発行数は2億部に及ぶ。「100万部にならなかったら失敗」だとまで編集部では言われるという。
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企画ものが中心のダイソーに対し、筆者がしっかりいる、いわゆる「著者もの」の作品を展開するのがコンビニエンスストアだ。
ゴマブックスがファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズに書籍を供給し、「ファミマセレクトBOOKS」「オンデマンド本セレクト with E ブック」などとして、過去の人気作をリパッケージするなどして展開している。これらのコンビニでは、一般版元の書店向け作品も簡易販売BOXに入れて並べ、いまでは雑誌棚の多くを占めるまでになっているのだ。
オリジナル路線を行くのがセブン-イレブンだ。
セブン&アイグループの出版事業会社であるセブン&アイ出版が企画・編集し、発行するグループ限定オリジナル書籍として、「カリスマの言葉」シリーズを展開している。書店やamazonには一切流通しない限定作品だが、創刊から3年半が経過し、刊行点数30点、累計発行部数は215万部を突破するまでになっている。

コンビニ各店は取り扱い店舗の規模が桁違いだ。3大チェーンの国内店舗数は、ファミリーマートが1万6507店(2019年8月末日現在)、ローソンは1万4659店(同年2月末日現在)、セブン-イレブンが2万1034店(同年8月末日現在)という状況だ。1店舗に2~3冊としても、単純計算で、それぞれ3万部以上の初版部数が必要になる。
事実、セブン-イレブンの「カリスマの言葉」シリーズは、堀江貴文氏(実業家)、中野信子氏(脳科学者)、小林弘幸氏(順天堂大学医学部教授)らの作品が人気で、初版5万~6万部で設計されているという。
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こうした新しい書籍販売のかたちを「書店の脅威」と指摘する向きもあるが、「それは違う」として関係者は次のように語る。
「書店と競合しない形でオリジナル作品を展開することで、結果的に著者の露出が増え、書店に流通している作品の売り上げアップも期待できます。著者の側も、書店流通用の版元とコンビニ流通とを分けて考え、『露出効果』を意識しながら両方を使い分けています。
グループの一日来店客数は約2500万人。たしかにコンビニに書籍を買うことを目的に来店する人は少ないかもしれませんが、セブン-イレブンの2万店舗で作品が置かれていて、お客様に常時触れ続けることの効果は侮れません」(同前)
たしかに、通りすがりに立ち寄ったコンビニで、写真入りの著書に日々触れていれば、自然と顔と名前がインプットされてしまうだろう。書店に行った際、その著者の一般作品がベストセラーとして掲示してあれば……「ちょっと買ってみようか」という気持ちが起きても不思議ではない。
前出の関係者は言う。
「書店と競合する気はなく、出版文化を互いに支え、活性化できればという思いなのです。コンビニという特性上、厚くて単価の高い作品はやりにくい。街のコンビニの店舗で、ハードルを下げる形で気軽に書籍に触れていただき、読む面白さを知ったら、より本格的、専門的な作品を書店で買う、そんな流れができたらいいと考えています」
そんな中、セブン&アイグループ限定オリジナル書籍として、10月1日から新たに新書シリーズが創刊されることが取材で分かった。
生涯学習時代を意識し、「学び」をテーマに、第1弾は坂上忍氏『かけひきする勇気』、中野信子氏『引き寄せる脳 遠ざける脳』、穂積桜氏『睡眠レッスン』の3作品が定価:本体500円+税、初版各約6万部で刊行されるというのだ。
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このオリジナル新書シリーズは144ページと薄くし、読み切れることを重視している点が特徴的だという。
「書店売りの書籍と同じクオリティで作っています。従来5章立てで作っていた内容を凝縮して3章立てくらいに絞り込み、文字を大きく、写真やイラストなどのビジュアルも多くして、楽しく読めるようにすることを心がけています」(同前)

出版の現場ではこのようにまったく別なアプローチで、新しい書籍の作り方・売り方が広がり始めてきた。
かつては「コンビニで本を売るのは難しい」というのが業界の定説だった。しかし、そうも言っていられない状況がある。今後の推移から目が離せない。