2年前、スリランカ人の女性が名古屋入管に収容中に死亡し、遺族が国に損害賠償を求めている裁判で、遺族側は、医師の意見書を交え、監視カメラ映像すべての開示を求めました。
ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)は在留ビザの失効により、2020年8月から名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていましたが、体調不良を訴えた末、2021年3月に死亡しました。 遺族は「必要な医療を提供せず収容を続けて死亡させた」などとして、国に約1億5600万円の損害賠償を求めています。
「映像は国の私物ではない」監視カメラ映像全開示を要求も…
10日の口頭弁論で、遺族側は医師の意見書を提出し、死因が脱水や栄養障害であると考えられると主張。 当時の検証のため、監視カメラ映像すべての開示を求めました。 ウィシュマさんの妹のワヨミさんは法廷で「映像は国の私物ではない。残る290時間分を私たちに渡してほしい」と話しました。 一方で国側は、これまでに提出した5時間分の映像を弁護側が約5分に編集し、メディアに向けて公開したことについて、「保安上の問題もあり、取り扱いについて注意喚起していた裁判の証拠資料をマスコミに公開することは円滑な訴訟の進行に支障を生じかねない」と批判しました。
妹「姉が何があったかはっきりしない」
裁判後、ウィシュマさんの妹のワヨミさんは次のように話します。 「姉が何があったかはっきりしないので、真相究明するために全体のビデオの開示を求めました」(ウィシュマさんの妹 ワヨミさん) 一方、出入国管理法の改正案が、9日、衆議院本会議で可決されました。 現行の入管法では難民認定を申請している間は送還が停止されるため、送還を逃れる目的で、申請を繰り返すケースが指摘されています。 改正案では、送還ルールを見直し、3回目以降の難民申請者は認定の手続き中でも本国への送還を可能とすることが柱になっています。 これについて、ワヨミさんは「法律を作る国会で姉の真相究明を我々が求めていましたが、解決する回答がないまま法案が通って心配な気持ちがあります」と話しました。 (5月10日 15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)