「怖かった」大きな揺れ、木更津市民に広がる不安 千葉

11日午前4時16分ごろに発生した千葉県南部を震源とする地震で、県内最大となる震度5強を観測した木更津市を訪れた。同市では、人的被害は確認されていないものの、物が落ちたり、瓦屋根が破損したりする被害が出た。市民からは口々に「驚いた」「怖かった」との声が聞かれた。(前島沙紀)
「下から、『どーん』と突き上げる揺れだった」
こう振り返るのは、市内の寺院、光明寺の住職を務める石野晴朗さん(52)。光明寺では今回の地震で、50年ほど前から建つ本堂の瓦屋根が3カ所破損し、壁も一部が崩れた。平成23年の東日本大震災では建物が左右に揺れたが、今回は「直下型と感じる揺れだった」。東日本大震災のときよりも破損した部分が多いといい、石野さんは「耐震性も考え、専門業者に修理を頼まないといけない」と力なく話した。
光明寺から徒歩3分ほどの場所にある寺院、愛染院でも、建物の瓦屋根が破損。住職の妻(79)は「すごく揺れて、寝ていたけれど飛び起きた。怖い感じがした」と青ざめていた。
一方、通勤・通学客が利用するJR木更津駅では、構内の天井のほか、券売機の上に設置されている路線図の看板の一部が破損。11日午前10時過ぎから、係員が天井の修理に取りかかっていた。駅員は「このような被害は初めて。直下型地震が起きるといわれる中、訓練は受けているが、駅がこうなるとは驚いた」。
県立木更津東高校では、耐震工事はすでに終えていたが、今回の地震で2階の渡り廊下の天井の接合部が落下。ほかにも、調理室で食器が落ちるなどの被害があったという。袖ケ浦市に住む渡辺秀樹教頭(51)は「学校へ来たら、いろいろなものが落ちていた」と話した。
県内で震度5強を観測したのはほぼ11年ぶりとあって、市民からは驚きの声が多く聞かれた。
市内の洋服店「あさひや」の店長、笹川容子さん(59)は「棚の本が落ちて、冷蔵庫が7センチもずれた」。同じく市内の鮮魚店「魚きよ」の店員(65)は自宅の重いタンスが動いていたといい、「東日本大震災よりも(揺れが)大きく、怖かった」と話した。15年前から市内に住んでいるという無職の男性(79)も「いろいろな災害が起きても安心な場所としてここ(木更津市)を選んで住んだのに…」と肩を落とした。