拡声器で参加者を罵倒 「聴覚に異常を来す」騒音107デシベル 平和行進を妨害する右翼団体

平和行進に対する右翼団体の妨害が繰り返されている。13日の中部基地コースでは8台以上の街宣車が繰り返し行列に接近し、拡声器で参加者を罵倒した。スマートフォンの騒音計アプリによる簡易測定では「聴覚機能に異常を来す」とされる107デシベルを記録した。(編集委員・阿部岳、政経部・東江郁香)
多くの都府県は「暴騒音規制条例」を定め、10メートル離れた計測で85デシベル以上となる騒音を刑事罰で規制しているが、沖縄には同様の条例がない。日弁連などは過去に、条例が表現の自由を制約するとの懸念を表明している。
糸満市の少年(11)は「自分が沖縄を少しでも知ることが、今後の平和につながると思う」と考え、父(40)や弟(9)とともに初めて平和行進に参加した。罵声を浴びせる街宣車を見て、「戦争が好きな人もいて、みんながみんな平和が好きなわけじゃないんだと感じた」とつぶやいた。
一方、沿道から行進を見ていた嘉手納町の中学2年の男子生徒2人は「右翼がかっこいいから見に来た」と話した。「生まれた時から身近に嘉手納基地があり、別にうるさいとか何も思わない」と、行進には冷ややかな目を向けた。
県内に住んでいた頃から15回以上行進に参加している福岡市の女性(80)は「昔は右翼も論理的な話をしていたけど、最近はただ罵倒するばかり。劣化を感じる」とあきれた。同時に、「行進の参加者が減っている。私たちの運動も徐々に衰えてきているのかもしれない」と危機感を口にした。