《大阪18歳女性“殴打殺人”》「ムリ、ツラくて死ぬ。殴られる」薬指にタトゥーのギャル文化好き被害者とホスト顔のヤンキー容疑者(22)を結んだ「バイクと暴走族とスナックと…」 から続く
「札束をまき散らす」「オリンピックに出ている」
大阪府泉佐野市の集合住宅の一室で立花花華さん(18)が遺体となって見つかった事件。逮捕された自称自営業の山中元稀容疑者(22)は小学生の頃、将来の夢についてこう綴っていた――。
2人は交際関係にあり、喧嘩になったことから山中容疑者が立花さんに暴行を加えて死亡させたものとみられる。山中容疑者は5月9日に傷害容疑で逮捕され、11日に殺人容疑に切り替えて送検された。18歳という若い命を奪ってしまった山中容疑者とは一体どんな人物なのか。近隣住民らは「地元では有名な“悪ガキ”だった」と話し、後悔と義憤を語った。( #1 を読む)
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昔から秘めていた“人を死に至らしめるほどの凶暴性”
社会部記者が解説する。
「事件現場は山中容疑者の自宅アパートでした。山中容疑者は8日午後11時から翌日0時まで、1時間にも及ぶ暴行を加えた後、同日午後4時ごろに外出しています。そして約3時間後に帰宅し、自ら通報。山中容疑者は『(立花さんが)呼吸をしていない。心臓マッサージをしても動かないので通報した』、『20発くらい殴った』と供述し、傷害の容疑を認めていました。2人は事件の1カ月ほど前から交際を始め、“半同棲”状態であったとされています」
司法解剖の結果、立花さんの死因は頭や身体の内出血による出血性ショックで、警察は山中容疑者が“執拗”に暴行したとみて捜査している。山中容疑者の実家周辺に住む近隣住民らに話を聞くと、山中容疑者が昔から“人を死に至らしめるほどの凶暴性”を秘めていたことが浮かび上がってきた。
「元稀は建築関係の仕事をする父と専業主婦の母、兄、妹の一家で育ちました。幼少期はあまり目立つこともなかったのですが、10歳の頃から素行の悪さが際立ち始めて、近所では要注意人物として名前が出回り始めたんです。
地元はヤンキーと呼ばれる人種が多い町ではあるものの、元稀はそのなかでも特に凶暴で有名でした。立場が弱そうな子に対していじめを繰り返して、それを咎められても『やっていない』と息をするように嘘をつくような子。小学5年生の時には同級生を階段から突き落として、その子は1年間治療を続ける身体になってしまった。
それからというもの、元稀には人が寄り付かなくなり、私自身も自分の子どもには元稀やその兄妹とは関わるなと教えて育ててきました」(近隣住民)
鉄パイプを持って、小学生に「金出せ」「ボコボコにするぞ」
その後、地域の人や学校の先生の見守りにより、一時は空手・柔道系の部活に励んで大人しくなっていったというが、中学校に入ってから生来の“凶暴性”に拍車がかかったようだ。前出とは別の近隣住民が続ける。
「中学2年生の頃からかなり酷くなりだした。陰湿ないじめから暴力を加えるようになり、カツアゲもするようになった。見ず知らずの小学生を呼び止めて『お金を出せ』と凄み、お金を持っていないと話す子に鉄パイプを示して『もし持っていたらボコボコにするぞ』と脅迫したそうです。外出ができなくなるほど精神的被害を被った子もいましたよ」
中学生の時に恐喝、放火、婦女暴行の過去…
その後も警察沙汰になる行為は続き、度々反省文を書かされていたという山中容疑者。数ある反省文の中では、「こわい思いをさせて反省しています。これからは人の役に立ち、変わったといわれるように頑張ります」と改悛の意を示していたといい、大人や強い立場の人間に対しては従順な姿勢を見せていたという。
「しかし、“要注意人物”になった元稀の悪い噂は当時、毎日のように耳に入っていました。反省文の効果もなく、その後も暴行、恐喝を続けて、更に放火までしたという噂も出回りました。中学を卒業する頃には婦女暴行で少年院入りしたのに、高校に進学したと聞いて驚きが隠せなかった記憶があります。それからは、親世代で元稀の話をすることはタブーとなりました」(同前)
地元の中学校を卒業した山中容疑者は、自宅から少し離れた府立高校に進学するも、1学年の夏休み前には退学している。少しの期間ではあるものの、高校で山中容疑者と学校生活をともにした同級生は今回の事件報道を見て「やっぱりあいつか、犯罪者になったか」と納得していた。
高校中退後は、大阪市内のホストクラブで働き始めた山中容疑者。ある日の朝5時頃には、他人の団地内で倒れこんでいる姿を警察官5、6人が囲んでいて、「またあいつか」と近隣住人らは驚かなかったという。
小学生のときから「夜露死苦~」とヤンキー言葉を使用
長い間、山中容疑者を見てきた近隣住人らは「地域ぐるみで“悪ガキ”を更生させられなかった後悔と、数々の非行に走り、ついには殺人犯にまでなってしまった元稀には怒りすら覚えます」と口を揃えて言った。
山中容疑者は小学6年生のときに、成人した自分に向けてメッセージを送る学校の行事(通称「2分の1成人式」)で、10年後に「TVに出ている」と期待を寄せていた。クラスの仲間に向けて「これからも夜露死苦~」とヤンキー言葉で綴っていた山中容疑者。皮肉にも、“TVに出ている”という将来像は、“犯罪者”として実現してしまった。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))