混乱「LGBT法案」現場ルポ 拙速な法制化に反対する声根強く 銭湯・トイレ、トラブルの実態「マーク多すぎ、どこに入るべきなのか迷う」

LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案をめぐる混乱が収まらない。自民党が先週12日に開催した性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議では、法案への反対意見が続出したにも関わらず議論が突然打ち切られ、部会長らに法案の取り扱いが一任された。法案は16日にも開かれる党総務会での了承を経て、19日に広島で開幕するG7(先進7カ国)首脳会議前に国会に提出される見通しという。一部の公衆トイレや公衆浴場ではトラブルも生じており、女性や女児らの安全が脅かされる危険は払拭されていない。拙速な法制化に反対する声は根強い。周辺住民や関係者、拙速な議論に懸念を示す女性団体、LGBT当事者らの意見を聞いた。
「マークが多すぎて、自分がどこに入るべきなのか迷う。(男性と女性が同じ個室を使うため)大人の女性なら(男性が入ってくる)人の気配に気付くことができるが、『小さい子だったら…』と不安な面もある」
東京都渋谷区で働く女性(47)は、同区の住宅街に設置された公衆トイレについて、こう懸念を語った。
このトイレの2つの共用個室には、「男」「女」「小さい子供連れ」など5~6つのマークが書かれていた。女性専用の個室は見当たらなかった。
渋谷区はプレスリリースで、「女性トイレをなくす方向性は全くない」と説明する。だが、最近できた同区の別の公衆トイレも訪ねてみたが、あるのは、男女共用の個室が2つと、「誰でもトイレ」1つだけだった。
新宿区に先月開業した東急歌舞伎町タワーに設置された「ジェンダーレストイレ」も話題となった。当初は2階に8つあったが、現在は2つに減り、女性用トイレを2つから8つに増やしたという。
案内板も「ジェンダーレストイレ」から「トイレ」に変更した。入り口には警備員が配置され、「迷惑行為」の禁止を促す張り紙もあった。
女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」の森谷みのり共同代表は、「オールジェンダートイレは、トランス女性(=生まれつきの性別は男性、性自認は女性)が女子トイレに入れるかという問題を避けるためにできたが、『入りやすく見えにくい』から大問題だ。カメラを仕掛けたり押し込めたりしやすい。トイレは別にし、入り口も離してほしい。スパや温泉も同様で、女性が1人でのびのびと女湯に入れるようでないと行く人が減るだろう」と指摘する。
都内のある公衆浴場では、外見では女性だが男性器のついた客が女湯を利用し、トラブルになった。