維新党大会 政策の大衆迎合色が強すぎる

日本維新の会が野党内で存在感を高めている。今後は経済や社会保障といった分野で、現実的な政策を提案できるかどうかが問われよう。
維新が大阪市で臨時党大会を開き、馬場代表の続投を決めた。
馬場氏は大会で「来たるべき衆院選で野党第1党の議席をお預かりすることが次の目標だ」と述べた。会合後には、289の全ての小選挙区で、候補者の擁立を目指す考えを強調した。
維新は先月の統一地方選の結果、首長と地方議員が総勢770人以上となり、「600人以上」としていた目標を上回った。衆院和歌山1区の補欠選挙でも、新人が自民党の前議員らを破った。
看板政策として掲げる「身を切る改革」のアピールに成功していると言えるのではないか。
維新は、憲法改正論議に前向きで、防衛力の強化を唱えている。こうした主張も、保守層から一定の支持を得ているようだ。
だが、肝心の内政に関する政策は心もとない。
維新は、消費税の減税を主張している。社会保障費は今でさえ拡大の一途をたどっているのに、その財源をどう賄うというのか。成長戦略では、所得税や法人税の減税を求めている。
大衆迎合色が強い施策を並べ、歓心を買うばかりでは、責任ある政党とは言えない。
維新は、国会議員の定数削減を主張しているが、国民の代表を減らすことが適切なのか。経費を節減する観点のみで、代議制民主主義の根幹に関わる問題を軽々に論じるべきではない。
地盤の関西地方を除く地方の組織作りも課題だ。青森や山梨、山口など10県では、支部が存在していない。今の「風頼み」では躍進も長続きしまい。
維新に立場を脅かされているのが、野党第1党の立憲民主党だ。先月の衆参5補選では、擁立した3人の公認候補が全て敗れた。
閣僚らの失言やスキャンダルをあげつらうだけでは、期待感を生むのは難しいと言えよう。
党勢の低迷に危機感を持った中堅・若手議員は、泉代表に次期衆院選で200人以上を擁立するよう求めた。現在の公認は約140人にとどまっているため、執行部に 苛立 (いらだ)ちを募らせたのだろう。
党内の突き上げを受け、泉氏は200人以上を擁立し、150議席を獲得できなければ代表を辞任すると表明した。退路を断つ姿勢を示したつもりなのだろうが、反転攻勢の道筋は見えない。