19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に出席する各国首脳の来日が本格化する18日から広島平和記念公園(広島市中区)の立ち入りが制限され、平和記念資料館など公園内の施設は休館となる。封鎖前の17日、市内は多くの警察官が警戒に当たり、厳戒ムードに包まれる中、平和記念公園には観光や慰霊のために国内外から多くの人が訪れた。
ドローン「禁止」の掲示物
午前中から気温が上がり今年一番の暑さとなった広島市内。厳しい日差しが照り付ける中、原爆ドームでも日傘を使う人の姿が目立った。周囲はフェンスで取り囲まれ、ドローンの飛行を禁止する「小型無人機等飛行禁止指定地域」の掲示物も張り出された。
「原爆ドームは何としても見ないとと思い、時間を作ってきた」と話すのは三重県から仕事で訪れたという会社員の女性(34)。18日には広島を離れるため、「今日中に見れるところを回りたい」と先を急いだ。
横浜市から友人3人で旅行に訪れた大学生の女性(21)は「今日までなら見学できると聞いていたので、平和記念公園も全部見て帰ります。警備がこれほどすごいとは思わなかった」と驚いた様子だった。
広島サミットの開催を知らずに訪れたという外国人観光客も。平和記念資料館を訪れたフランスからの観光客、ウィリアム・ベネットさん(36)は「G7の影響でさまざまな施設が閉鎖されることを知らず、広島に今日と明日の2日間の予定で来た。ゆっくり回る予定だったが、今日、急いで資料館や原爆ドームを見学している」と残念がった。資料館を見学したベネットさんは「この街で悲劇が起きたことを、みんなが知るべきだと感じた」と訴えた。
首相と韓国大統領が慰霊碑参拝へ
サミット最終日の21日に岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が参拝する予定の平和記念公園内の「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」には、修学旅行生がガイドの説明を受けながらメモを取っていた。慰霊碑は以前は対岸にあったが、関係者の尽力で公園内に移設された経緯がある。首相と尹大統領参拝前に訪れたかったという市内在住の田辺清隆さん(83)は「日本人とともに亡くなった韓国の方々を一緒に慰霊するのは、日韓の雪解けにふさわしい行事になると思う。平和の時代が来ることを祈っています」と話した。
市内で韓国語教室を開くユン・チジュンさん(66)は、教室の生徒とともに作った計3000羽の折り鶴を慰霊碑にささげた。ユンさんは「岸田首相と尹大統領が一緒に参拝することにとても感動している。日韓両国にとって非常に良いことだと思う。改めて犠牲になった方々の冥福を祈りたい」と慰霊碑に手を合わせた。(大渡美咲、橘川玲奈)