「なぜパジャマのまま薬を…」市川猿之助さん(47)一家“心中”事件に残る違和感のナゾ「セクハラ報道」発覚後に家族会議「死んで生まれ変わろうと…」《猿之助さんは罪に問われるのか?》

「努力の父が猿之助を育て上げた」“一家心中”で世を去った市川段四郎の3つの「大功績」《歌舞伎史上最大の事件》 から続く
歌舞伎界きってのトップスター市川猿之助さん(47)が自宅から救急搬送され、父親の段四郎さん(76)と母親(75)が死亡した、日本の歌舞伎界を揺るがす大事件。事件発覚当時、多くの謎からさまざまな憶測が飛び交ったが、捜査の進展や、猿之助さんが回復したことから、事情が少しずつ明らかになってきた。社会部記者が解説する。
「死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」
「司法解剖の結果、両親の死因は、向精神薬を大量に摂取したことによる薬物中毒とみられています。また猿之助さんは事件当初、受け答えをするのも難しい状態でしたが、今では体調が回復し病院を退院。事件に至った経緯を語り始めています。
まだ全容がハッキリしたわけではありませんが、猿之助さんは『死んで生まれ変わろうと家族で話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ』といった趣旨の発言をしているようです。『女性セブン』で猿之助さんの共演者やスタッフへのパワハラ・セクハラ疑惑が報じられたばかりで、その内容や対応を家族で話し合ったものとみられます。
ただ、こうした発言内容から一家心中との見方がある一方、『両親が睡眠薬を飲んだ』という発言が、両親が自らの意思で飲んだことを指すのか、猿之助さんが飲ませたのか、そもそも誰が持ちかけて心中に至ったのかなど詳細はまだわかっていません。警察は今後も慎重に捜査していく方針です」
猿之助さんは亡くなった両親と3人暮らしで、閉ざされた“家族会議”のなかでどのようなやり取りが交わされたのか、真相の解明は困難極まると予想される。猿之助さんが、罪に問われる可能性はあるのか。犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、「“家族会議”の中身次第でシナリオは大きく変わっていく」と解説する。
「無罪」「自殺ほう助」「自殺教唆」「殺人」の分かれ目とは
「まず1つ目は、猿之助さんが『無罪』のパターンです。猿之助さんの予想外に両親が睡眠薬を飲んで自殺。そして、それを発見した猿之助さんが悲嘆にくれて後追い自殺を試みたとします。この場合は、両親も猿之助さんも、お互いがお互いの意思で自殺しようとしているため、猿之助さんが罪に問われることはありません」
次に想定されるのが、「自殺ほう助」と「自殺教唆」のケースだ。
「週刊誌の記事を見て、猿之助さんと両親が一家心中を図ったパターンです。例えば全員で死ぬことを決断して、『睡眠薬は自分が用意する』と猿之助さんが薬を両親に渡し、両親が自殺した場合、これは自殺ほう助に該当します。また、『自殺するしかない』と猿之助さんが両親にもちかけていた場合には、自殺教唆に該当します。これらはいずれも、猿之助さんが罪に問われるパターンになります。また逆に両親の方から、『生き恥を晒すな』と家族に自殺を持ちかけた場合には、両親に容疑がかかる可能性もあります」
では、猿之助さんが殺人罪に問われることはあるのだろうか。
「可能性は低いと思いますが、酒などに薬を混ぜて両親を殺害した後に、猿之助さんが自殺を図ったケースです。ただ、仮に薬が無臭なものだとしても、大量の睡眠薬を無理矢理飲ませることは難しいと思います」
両親が薬を飲んだ経緯によって、事件の展開は様々だ。一方、今回の事件について、小川氏は「違和感ばかりが残る」と語る。
「両親の死には疑問がたくさんあります。まず薬での自殺は苦しみながら死亡するケースが多く、なぜあえてその手段を取ろうとしたのか…。
また、発表によると、今のところ見つかった遺書は猿之助さんのものだけです。社会的地位を築いている段四郎さんであれば、兄の猿翁さんなど関係者に遺書を書き残すのが自然ではないでしょうか。
さらに、両親は発見時にパジャマを着ていたということですが、こういった地位にある方が身なりを全く気にしないまま自殺することについても違和感があります。
猿之助さんが首を吊っていたというのも、事前にマネージャーが自宅に迎えにくる時間を知っているなら、タイミングが遅いと思います」
「責任感の強い猿之助さんがなぜ?」
こうした不自然な点以外にも、小川さんは動機についても疑問があるという。
「メディア関係者からは『猿之助さんはとにかく責任感が強い人』だと聞いています。出演している映画の公開が近くに迫っていましたし、歌舞伎の公演も真っ最中でした。関係者に迷惑がかかることを猿之助さんが知らないわけがありません。週刊誌の記事も自殺するまでの内容とは思えず、何がここまで猿之助さんを追い詰めることになったのか、原因がハッキリしません」
令和の歌舞伎界に衝撃を走らせた“猿之助心中騒動”。今後、本人からどのような経緯が語られるのだろうか。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))