5月8日、東京・銀座で起きた仮面をかぶった男たちによる強盗事件。逮捕されたリーダー格の男(19)が、岐阜県大垣市の強盗事件にも関与していた疑いのあることが分かりました。
8日、東京・銀座の高級時計店で起きた仮面強盗事件。犯人たちは店内のショーケースを割り、時計を強奪したあと車で逃走。犯行はわずか2分ほどでした。
警視庁は、この事件で16歳から19歳の男ら4人を強盗などの疑いで逮捕しましたが、実は今リーダー格とみられる19歳の無職の男が、岐阜県大垣市で起きた別の強盗事件に関与した疑いが浮上しています。
銀座で事件が発生した日の6日前、大垣市島里の住宅に4人組の男らが押し入り、会社役員の75歳の男性にけがをさせた上、現金が入った金庫などを奪い、逃走しました。
捜査関係者によりますと、岐阜県警は5月18日に、実行役として10代の男ら2人を逮捕。
その取り調べの中で銀座事件のリーダー格とみられる19歳の男を「大垣事件の指示役」だと説明したということです。
東京の一等地、銀座の高級時計店を狙った男が、なぜ岐阜県大垣市なのか…。元・埼玉県警刑事の佐々木成三さんは、背景をこう指摘します。
(元・埼玉県警 捜査一課 佐々木成三さん)「一般民家においても闇リストを使って、防犯カメラがなく外灯が少ない、お金のある家の情報リストを使って、地方に流れていく可能性がある」
また銀座、大垣の事件ともに高校生を含む10代の少年らが実行犯として逮捕されています。
そして、これらの事件の背景として指摘されるのが、いわゆる“闇バイト”…。
(元・埼玉県警捜査一課 佐々木成三さん)「『高収入』『あなたの生活を助けます』など額面上のワードにだまされてしまう。(犯人側から)学生証や免許証の提出を求められ、求められた時点で闇バイトを提示される。断ると『学校に言うぞ』などの脅しがかかってしまう」
甘い言葉で誘い、弱みを握って逃げられなくする。こうして若者が犯罪に手を染めていくといいます。
こうした中、強盗事件のあった大垣市の隣、瑞穂市にある大学では学生に、闇バイトへの注意を呼びかけるため岐阜県警による防犯講座が開かれました。
講座では実際にSNSから闇バイトに応募し、特殊詐欺の受け子としてことし検挙された19歳の男子大学生を例に出し、個人情報として学生証を指示役に渡しまったことで犯行グループから抜け出せなくなったことなどが伝えられました。
(受講した学生)「大学生は、お金に困っているので(闇バイトに)目が止まるのかなと思う。だまされた認識がない時点で『学生証を提示しろ』と言われたら、逆に信頼してしまうのかなと思う」「(闇バイトが)どこに潜んでいるのか分からないところが恐ろしかった」
SNS上ではびこる闇バイトの募集に警察は…。
(岐阜県警 少年課 杉原理恵係長)「(闇バイトに誤って応募すると)やばいなと思い相談できなくなる心理がある。深みにはまってしまうので、勇気を出してすぐに相談してほしい」
岐阜県警は、警視庁などと連携しながら、残る実行役の行方を追うなど捜査を進めています。