2021年10月の衆院選を巡り、自民党の泉田裕彦衆院議員(60)が星野伊佐夫元県議(83)から裏金を要求されたと公表した問題で、公職選挙法違反の疑いで書類送検された星野氏について、新潟地検は24日、不起訴処分と発表した。【内田帆ノ佳】
処分は同日付。地検は不起訴の理由を明らかにしていない。発表の時期については「捜査にこれだけ(時間が)かかった」とし4月に行われた統一地方選への考慮を否定した。
この問題は、泉田氏が21年11月に「裏金要求をされた」とツイッターに投稿したことが発端。「2000万や3000万なんかもったいながったら人生終わるよ」などと、星野氏から裏金を要求された際の会話を録音したとする音声データを公開した。星野氏の言動が公選法に違反するとして、泉田氏は22年2月長岡署に告発状を提出、即日受理された。22年9月には県警が星野氏を公選法違反容疑で書類送検した。
星野氏は一貫して裏金要求を否定。「党に迷惑をかけた」として21年12月に自民党を離党した。先月の県議選に出馬せず、政界を引退。今年3月にも地検の聴取を受けたという。
今回の不起訴処分を受けて星野氏は毎日新聞の取材に「不起訴になることは、全面的に信じていた。はっきりと潔白が証明されたので大変うれしい」と話した。裏金については「発言もないし、要求もないし、何もない」と断言し、25日に長岡市内で記者会見を行う意向を示した。
一方、泉田氏は「告発から処分まで非常に長い時間がかかる間に県議選があり、星野氏は立候補できずに社会的制裁を受けたことの結果と受け止めている。民主主義の根幹をなす選挙がカネの力で左右されることが二度と発生することがないように期待します」とコメントを出した。
元裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授(刑事法)の話
泉田氏が裏金を求められたことは恐らく認定されているだろう。ただ、泉田氏が拒否したことで金銭の授受までには至らず、自民党内部で(問題が)終わった。今回は刑罰がくだらなかったが現職の国会議員による告発は珍しく、アナウンス効果があり今後の防止機能を果たした。