与党である自民と公明の選挙協力が東京都で解消された。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を受けた内閣支持率アップを背景に早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、四半世紀にわたり公明の支援を受けてきた自民議員には衝撃が走り、首都圏を中心に「これからはいばらの道だ」との動揺が広がる。
「東京の話で局地戦だ。神奈川は無関係」。県内選出の自民議員は突然の混乱に不快感をあらわにし、「萩生田さんは(公明の支持母体の)創価学会ゆかりの八王子が選挙区だから関係に甘え過ぎたのではないか」と、都連会長も務める萩生田光一政調会長の東京28区を巡る仕切りに疑問を投げ掛けた。
東京は渦中のまっただ中にある。都連関係者によると、都内選出議員や都議らには全国の自民関係者から反響が寄せられていて「激励と批判が五分五分」の状態と明かす。「『自民以外に支持する先はない』『無党派の支持が増える』と公明を突き放す意見もあるが、『下野時代も連携した』『目減りする票はとてもカバーできない』との現実論も交錯している」という。
先の衆院選(2021年)では、公明が出馬した1選挙区を除く都内24選挙区のうち16選挙区を自民候補が制した。うち3人は次点と1万票以内の差で、2万票以内まで広げると6人に上る。「これらの議員は公明票が離れると選挙区当選は厳しい」(自民選挙対策委員会関係者)との声も上がる。
また、公明比例票を見ると都内合計で71万5450に上り、自民(200万)、立憲民主党(129万)、日本維新の会(85万)に次ぐ規模。平均で1選挙区当たり2万8千となる。「都市部選挙区では約10万票が必要」(ベテラン議員の秘書)とされるが、その4分の1強に相当する。
公明票を上回る票差で勝ち抜いたのは16人中8人。次回総選挙で選挙区は30に増えるが「公明と切れては過半数(16人)はとても見通せない」(自民選対関係者)という。
首都圏の公明党議員は「びっくりした。(党本部は)よほど腹に据えかねたのだろう」と推測。創価学会関係者は「これからは人物本位ということだ」と話した。