動機、犯人像絞り込めず=トラブル、物色跡なし―茨城一家殺傷から1週間

茨城県境町の住宅で、小林光則さん(48)と妻の美和さん(50)が殺害され、子ども2人が重軽傷を負った事件は30日で発生から1週間。警察の調べで一家を襲った人物の侵入経路や襲撃時の様子は徐々に分かってきたが、交友関係のトラブルや室内が物色された形跡は見つかっておらず、犯人像や動機は絞り込めていない。
事件は23日未明に発生。何者かが小林さん宅に侵入し、2階で就寝中の光則さん夫婦らを鋭利な刃物で襲撃した。2階の別部屋で寝ていた中学1年の長男(13)は手足などを切られ、小学6年の次女(11)も催涙スプレーのようなものを噴射され両手に軽傷を負った。夫婦は胸や首などを深い位置まで刺されたことによる失血死だった。
捜査関係者によると、当時小林さん宅は、複数箇所に鍵がかかっていなかった。犯人は無施錠の窓から室内に入り、2階に直行して一家を襲撃したとみられることから、室内の間取りを把握していた可能性がある。
通報した美和さんは「助けて」「痛い、痛い、痛い」などと訴え、切迫した様子だったという。美和さんは光則さんが襲われた後に殺害されたとみられている。
現時点では室内を物色した形跡や、金品を奪ったことを示すものはなく、犯人の遺留品も見つかっていない。一方で一家をめぐる人間関係や家族間のトラブルも確認されておらず、強盗目的か何らかの恨みによる犯行かを含め動機は不明なままだ。
こうした状況から県警は聞き込み捜査の範囲を広げ、不審人物の目撃情報の調べを進めている。周囲の防犯カメラの映像も一定数が集まっているといい、県警は解析を急ぐ。県警への情報提供はフリーダイヤル(0120)007285まで。