川下りで「忍者みたい」と話題のパフォーマンス、市が事実上の中止要請…「乗客の安全脅かす」

福岡県柳川市と市観光協会は25日、同市の川下りで船頭が披露する「橋越え」と呼ばれるパフォーマンスについて、乗客の安全を脅かす危険な行為などとして、川下り業者7社に安全運航の徹底を求める文書を配った。事実上の中止要請となる。(柿本高志)
市観光課によると、「橋越え」は舟が橋の下を通過する際、船頭が手前で橋に飛び移り、道路を横切って橋を通過した舟に再び飛び下りる行為。
以前は特定の業者の船頭に限られていたが、数年前からSNSで動画が公開されるようになると、国内外から「忍者みたいで格好いい」「自分も舟に乗って、パフォーマンスを見てみたい」といった書き込みが相次ぎ、橋越えをする業者が増加。今年3月以降は、「乗客を残してこうした行為をするのは危険だ」などと懸念する意見が目立つようになったという。
文書では、「乗客の安全確保は最優先事項」としたうえで、船頭が舟を離れる橋越えについて、橋の上を行き来する歩行者や車にとって大変危険で、船頭が舟に飛び下りる際にガス管などの上に立つことで破損させる恐れもあり、市民生活に影響を及ぼすと指摘。「事故などが発生した場合、柳川観光のイメージが大きく損なわれる。安全運航を徹底し、乗客や市民の安全確保を第一に考えてほしい」と呼びかけている。
市によると、川下りコースの竹門橋には、橋越えの際に船頭が上り下りするために架けられたとみられるはしごがあり、橋を管理する市建設課は不法占用に当たるとして今月18日、所有者に撤去を求める警告を張り出した。26日時点で、はしごは設置されたままで、市は一定期間後に撤去する方針。
市観光課の担当者は「橋越えを行っている事業者は、いずれも『重く受け止める』と回答したが、やめるという言葉はなかった。これからも引き続き安全運航を呼びかけていく」と話している。