生活保護費の引き下げは生活保護法に違反するとして、静岡県内の受給者6人が静岡、浜松、袋井、掛川の各市に減額決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は30日、各自治体による生活保護費の減額決定を取り消した。弁護団の大橋昭夫弁護士は「判決まで8年かかった。皆さんの努力で勝訴を勝ち取れた」と語った。
弁護団などによると、同様の訴訟は全国29地裁で起こされ、原告総数は約900人。1審判決は21件目で、このうち減額決定を取り消したのは11件目となった。
判決文などによると、国は2013年から15年にかけて、物価の下落などを理由に、生活保護費のうち食費などにあたる「生活扶助」の基準額を、3年間で平均約6・5%、最大で約10%、総額で約670億円を削減した。このため、原告は食費や入浴の回数を減らすことを余儀なくされ、「健康で文化的な生活を奪われた」として減額決定の取り消しを求めていた。
原告代表の山本定男さん(78)は「食事の回数を1日に2回に減らしたりと本当に苦しかった。今まで頑張ってきてよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。大橋弁護士は「控訴も見据え、今後も気を引き締めて戦っていきたい」と話した。
判決を受けて、4市はいずれも「国などの関係機関と相談し今後の対応を決めていきたい」とコメントした。【丘絢太】