首相襲撃、警察との連携不足に「双方に責任」 地元自民関係者の揺れる思い

岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件を巡り、警察庁が1日、当時の警護の問題点と対策をまとめた報告書を公表したことを受け、和歌山の政党関係者からは「警察と連携するしかない」との声が聞かれた。
和歌山県警は、演説会場の雑賀崎(さいかざき)漁港で金属探知機による手荷物検査や受付の設置を要請したが、主催者である自民党側が、参加は地元漁協関係者らに限られると強調したため見送られた。自民県連の湯峯理之事務局長は、報告書で指摘された警察当局との連携不足について「事件を防げなかった以上、双方に責任がある」と指摘する。
「握った手の数しか票は出ない」とも言われる日本の選挙。政治家は有権者との触れ合いを重視する傾向が強く、安全確保のため物理的な距離を取りたい警察側の思惑とは一致しない。
「聴衆の前列を関係者で固めれば安全かもしれないが、せっかくの機会も意味がなくなる」と湯峯氏。「暴力に屈しないためにも警察との連携をより強化し、街頭演説を続けていくしかない」と話した。雑賀崎漁港の関係者は「(当日は)人が密集していて不審者が分かりにくかったかもしれない」と振り返った。
県警は「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、警護対象者と聴衆の安全確保に向け、主催者らと連携しながら警護の実施に万全を期す」とのコメントを出した。