旧優生保護法訴訟 原告側の控訴棄却 仙台高裁

旧優生保護法(1948~96年)の下で不妊手術を強制されたとして、宮城県の60~70代の女性2人が国に計7150万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁(石栗正子裁判長)は1日、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用して請求を退けた1審・仙台地裁判決(2019年5月)を支持し、原告側の控訴を棄却した。
2人は一連の訴訟で最初に提訴した第1陣の原告で、これまでに全国12地裁・支部に計35人が提訴している。言い渡しがあった15判決のうち、原告敗訴は今回で8例目となった。
原告2人のうち、15歳で手術された知的障害のある60代女性が国内初の原告として18年1月に提訴。同年5月に70代女性も提訴し、審理が併合された。1審判決は旧法の違憲性を認めたものの請求を棄却し、原告側が控訴していた。
控訴審で原告側は「著しく正義・公平の理念に反する場合には除斥期間の適用が制限されるべきだ」と主張。国側は「除斥期間の適用の制限は、加害者の行為で権利行使(損害賠償請求)が客観的に不可能となった場合に限られる」などと反論していた。【遠藤大志】