今年4月22日、六代目山口組3次団体・湊興業の余嶋学組長が射殺された。余嶋組長は神戸市長田区でラーメン店を経営していて、白昼堂々、その店内で銃撃が行なわれたことから周囲が震撼する事態に。その後、事件に大きな進展は見られなかったが、6月に入り、ラーメン店入り口に設置された防犯カメラの映像が関係者の間で流出していることがわかった。
流出した防犯カメラの映像は2本あり、1本目は29秒ほどの動画だ。日付は4月22日11時13分。4人の神戸市消防局の救急隊員によって余嶋組長がストレッチャーに乗せられる様子だ。ストレッチャーに乗せられたあと、職員が心臓マッサージを行なうが、余嶋組長に反応は見られない。余嶋組長を発見し、通報したとみられる女性従業員や、近隣の飲食店関係者らが見つめるなか、ストレッチャーが運ばれていった。
そしてもう一本はこの30分ほど前の10時50分頃、余嶋組長を射殺したヒットマンの姿を収めた映像だった。
ニット帽、メガネ、上下スウェット、靴。全身を黒で統一し、唯一手袋だけ白色という不審な男性が歩いてくる。男性はマスクをしておらず、顔も窺える。バッグなどは持っていないが、入店直前、ズボンの辺りに右手を伸ばす。何を手にしたかははっきりと見えないが、犯行に使用した拳銃を隠し持っていたのだろうか。
◆「これは抗争だ」という意志表示
男性が再び店内から出てきたのはわずか38秒後。来た方向とは逆側に向かうが、走り出す様子はない。どこからか指令を受けていたのか、それとも銃殺を報告していたのか、右耳にはイヤホンをつけている──この映像をみた全国紙社会部記者は驚きの声を上げる。
「余嶋組長の口内で銃弾が発射されたということから、犯人が射殺するまでに何らかのやりとりや問答があったと見られていた。しかし、この動画を見るとわずか40秒足らずの間で行なわれている。いったいどうやったのか……プロのヒットマンによるものとしか考えられない」
暴力団組員はトラブルを抱えるケースが多い。5月26日、町田で六代目山口組傘下組織の組員が射殺される事件が起きたが、出頭してきた犯人は金銭トラブルが原因だという主張をしている。余嶋組長もトラブルとは無縁ではなかっただろうが、湊興業は六代目山口組の中核組織・弘道会が唯一神戸に拠点を置く組織だったため、これまでも根強く山口組分裂抗争による事件の可能性が指摘されてきた。はたしてなぜこのタイミングで動画が流出することになったのか。六代目山口組傘下組織幹部はこう語る。
「射殺された六代目山口組側が映像を流したのか、敵対する反六代目側が流したのかはわからないが、いずれにせよ“この銃殺は抗争事件だ”ということを世に知らしめるためだろう。防犯カメラの映像に犯人の顔が映っていることから、すでに六代目山口組の一部の人間は反六代目組織の有名幹部の実名をあげて、犯人説を唱えている。いずれにせよ抗争事件であるならば六代目山口組はカエシ(報復)に動くだろう」
今年の8月で山口組分裂から8年が経つ。新たな危険が市民に迫っている。