【自民党内部資料スクープ入手】自公亀裂「創価学会票」消滅で自民党議員56人が落選危機に直面

岸田文雄・首相と麻生太郎・副総裁、茂木敏充・幹事長が6月5日に会談し、「首相は早期解散の意向」と報じられると、東京選出の自民党中堅議員からは悲鳴があがった。本誌・週刊ポストは、自公選挙協力が解消されれば次の総選挙で自民党議員の落選ラッシュを招くという自民党内部資料を入手した。
「首相がやるなら受けて立つ」
「首相がやるぞと決断すれば、受けて立てるような備えをしていく」。公明党の山口那津男・代表が6月5日の講演で発した言葉を聞いた記者たちは驚いた。解散・総選挙を「受けて立つ」とは、自民党と対決する野党党首のような発言だったからだ。
自民党と公明党は1999年に連立を組んで以来、20年以上にわたって全国で選挙協力を行なってきた。自民党が衆院の小選挙区で多くの議席を獲得してきたのは、公明党とその支持団体・創価学会の票の上乗せに負うところが大きい。だが、東京28区の候補者調整をきっかけに自公の亀裂が広がり、いまや公明党・学会票が自民党から離れようとしている。
公明党は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」(石井啓一・幹事長)と長年続いてきた東京での自公選挙協力の解消を決め、自民党に正式に通告した。岸田首相は慌てて山口代表との党首会談(5月30日)を開いて連立維持を確認したものの、公明側は「会談では総理は候補者調整について『茂木(敏充)幹事長に任せている』というばかりでゼロ回答だった」と不信感を募らせている。
サミット成功で自信を深めた岸田首相が通常国会の会期末(6月21日)に解散・総選挙に踏み切るという観測が強まる中、自公の選挙協力解消が東京から全国に波及すれば多くの自民党議員が総選挙で落選の危機に陥りかねない。それだけに山口代表の「受けて立つ」発言は不気味に響く。
公明党・創価学会に太いパイプを持つ菅義偉・前首相は危機感を露わにしている。
「東京は非常に残念な状況であり、(選挙協力解消が)東京以外に広がることがあってはならない」
自公の選挙協力解消は岸田自民党の生命線にかかわる事態なのだ。
では、公明票を失えば、自民党はどれだけ議席を減らすのか。それを示す自民党の内部資料を本誌・週刊ポストは入手した。『第49回衆議院議員総選挙結果調』の表題があるA4判164ページにおよぶ冊子で、自民党選挙対策本部が前回総選挙(2021年10月)のデータを集計・分類・分析したものだ。
資料によると、自民党が推薦した公明党候補(小選挙区)は9人全員当選。うち7人が得票率50%以上だった。一方、公明党から推薦を受けた自民党候補は263人(自民の小選挙区候補総数は279人)で、当選者は233人(小選挙区当選180人、比例復活53人)。落選は30人だった。