政府は13日、「次元の異なる少子化対策」の実現に向けた「こども未来戦略方針」を持ち回り閣議で決定した。岸田首相は首相官邸で記者会見を行い、戦略方針の柱である児童手当の拡充について、2024年10月分から実施すると表明した。出産費用(正常 分娩 (ぶんべん))の保険適用は26年度から導入するとした。
首相は記者会見で、「30年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と述べ、若年人口が急激に減少する30年代に入るまでに対策を実施する必要性を指摘した。年3兆円台半ばとする追加予算の確保を巡っては、「歳出改革などの取り組みを徹底することにより、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す方針は揺るぎない」と強調した。
戦略方針では、今後3年間を集中取り組み期間と位置づけ、「加速化プラン」を実施する。
目玉となる児童手当の拡充では、所得制限を撤廃し、支給対象を「中学生まで」から「高校生年代まで」に拡大する。第1子と第2子の支給額は0~3歳未満が月1万5000円、3歳~高校生年代は月1万円とする。第3子以降は、0歳から高校生年代まで全て月3万円とする。
妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向け、出産費用(正常分娩)の保険適用に加え、「26年度をめどに、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める」との考えも打ち出した。
就労要件を問わず、時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設し、24年度中の本格実施を目指す。25年度を目標に「産後パパ育休」の給付金を引き上げ、男性の育休取得も促進する。
財源確保を巡っては、具体策を年末までに詰める方針だ。戦略方針では「消費税など増税は行わない」と明記し、「徹底した歳出改革を行い、(国民に)実質的に追加負担を生じさせない」との目標を掲げた。28年度までに安定財源を確保するとし、不足した財源についてはこども特例公債で確保する方針も示した。