在日コリアンが暮らすウトロ地区、家屋の解体始まる…21年には放火事件

在日コリアンが暮らす京都府宇治市のウトロ地区(約2・1ヘクタール)で19日、一帯に残る家屋の解体に向けた作業が始まった。市は9月下旬頃の作業終了を目指している。
市が解体するのは、2021年の放火で全焼した家屋など約30棟。この日は朝から、焼けた家屋周辺で足場の設置やゴミの搬出などが実施された。また、ウトロ平和祈念館のメンバーが、放火された家屋の柱などを保存するために、一部を祈念館に運んだ。
地区を巡っては、2000年の最高裁判決で住民らに立ち退きが命じられた。住民側は韓国政府の支援や寄付により土地の一部を購入し、市などが市営住宅を整備。17年に1期棟、23年に2期棟が完成し、52世帯が入居して暮らしている。放火された家屋は当時空き家だった。
祈念館の田川明子館長は「(市営住宅に入居して)人間らしい衛生的な暮らしになったのはとても良かった。ただ、(歴史的な意味で)象徴的な作業員宿舎などが解体され、消えてしまうのは残念」と話している。