京都府福知山市内で15日以降、夜間に神社などで3件の火災が相次ぎ、府警福知山署は連続放火事件の可能性もあるとみて捜査を始めた。市消防本部は19日、市民に対し、不審火への警戒を強めるように求める緊急の注意喚起を行った。(川本修司)
福知山署によると、15日夜、愛宕神社の本殿など2棟が全焼。17日未明には、南西に約1・7キロ離れた市街地の 一宮 (いっきゅう)神社で本殿を囲む板塀などが燃えた。18日未明には、グリーンホームセンター福知山店の軒下に積まれていた商品入り段ボール箱が焼けた。いずれもけが人はなかった。
3件とも現場の周囲に火の気がなく、出火当時は無人だったことから、福知山署は、何者かが火を放った可能性があると見ている。
近くの会社員男性(22)は17日未明、一宮神社から炎が上がっているのを近くの駐車場から目撃し、警察と消防に通報。一緒にいた高校生のおいと現場に向かい、境内にあった消火器で消し止めた。男性は「無我夢中だった。早く消さないと大変なことになるという思いで頭がいっぱいだった」と振り返る。
近くでは、ガソリンのような燃料を入れる缶が燃えていたという。周辺の落ち葉も焼けたが、本殿は類焼を免れた。
連続する不審火に、住民は不安を募らせている。愛宕神社近くに住んでいるパート女性(61)は「遠くからでも真っ赤な炎がはっきり見えるほどの勢いだった。次はどこで起きるかと思うと怖い」と顔を曇らせる。
市消防本部は19日、外灯などで建物の周りを明るくし、草刈り後の枯れ草を周囲に放置しないことなどの対策を市民に促し、「不審火による火災の多くは、人目につきにくい場所で発生している」と注意喚起した。
5月24日にも市内で空き家の玄関が燃える火災が起きており、市消防本部は今月18日夜から寺社など夜間に無人になる施設を重点的に巡回するなどして警戒を強めている。