世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の教祖・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の発言録約53年分が流出していたウェブサイトで、発言録の文書ファイルが23日までに全て削除されていた。定期的にサイトを閲覧していた記者が確認した。発言録の原本は既に絶版で入手が困難なため、流出文書が教団の政界工作などの実態を裏付ける貴重な資料となっていた。
文氏が1956年から2009年まで信者に向けて行った説教を韓国語で記録した発言録「文鮮明先生マルスム(御言(みことば))選集」は全615巻計約20万ページに及ぶ。韓国の教団系出版社が、文氏が死去した12年まで発行した。
毎日新聞は22年9月、発言録とみられる文書をPDFファイル形式で転載しているサイトの存在を把握。日本の教団にサイトのURLを伝えた上で真偽を尋ねたところ同一と認めた。ただ、サイト運営は教団と関係がなく、不法転載により著作権を侵害しているとして、韓国の教団がサイト側に法的措置を促しているとしていた。今回、日本の教団は「日本教会では削除経緯について確認が取れていない」としている。
発言録には、信者に政界工作を指示する言葉などが記され、文氏が自民党の岸信介元首相、安倍晋太郎元外相、安倍晋三元首相の3代の政治家を特に重視していた姿が浮かび上がった。発言録を無断転載しているとみられるサイトは他にもあるが、原本と同一のものかどうかは不明だ。このため、PDFを保存していなかった第三者が文氏の重要な発言を確認することは難しくなる可能性がある。【田中裕之】