〝闇バイト〟強盗で逮捕 指示役「ルフィ」の今村磨人容疑者 …北海道出身、中学でカツアゲ、ひき逃げで逮捕、生々しい証言の数々

<「フィリピンの収容所の様子からは想像できない」北海道出身の今村容疑者 同級生の生々しい証言>
各地で相次いだ一連の広域強盗事件をめぐり、「ルフィ」を名乗ってフィリピンから指示を出していたとして、警視庁が特殊詐欺グループの幹部を、強盗容疑で逮捕しました。 逮捕されたのは、フィリピンに拠点を置き、60億円以上の被害を出した特殊詐欺グループの幹部、今村磨人容疑者(39)です。今村容疑者は今年5月、仲間と共謀して京都の貴金属店から、高級腕時計41点、6,900万円相当を奪った疑いが持たれています。警視庁は携帯電話の解析や、被害品を転売して得た金の流れから、今村容疑者を事件の指示役の「ルフィ」と判断しています。 今村容疑者は北海道出身です。札幌で同級生だった女性が、1月にHBCの取材に応じました。
元同級生Aさん 「(今村容疑者はどのような人物でしたか?)真面目か真面目じゃないかで言うと、真面目じゃない部類の人ですね。ただ、フィリピンの収容所にいる姿からは想像できないぐらい(昔は)痩せてて、俗にいう、かっこいい部類の人でした。(真面目じゃないというのはどういうところが?)小学校の5、6年生のときに担任の先生いじめたりとかして、担任の先生が卒業式まで来ないっていうことがありました。中学校のときもタバコやお酒飲んだりとか、お金を弱い人からカツあげじゃないですけど取ったりとか、そういうのをしてたり…他校にけんかしに行ったりとかしてたので」「サッカー部に所属していて、サッカーは小学校の頃からやっていて、まじめに好きだったと思います」
Aさんによりますと、今村容疑者は、成人してからは、札幌のススキノで風俗店の経営などをしていたということです。
元同級生Aさん 「(事件を聞いて受け止めは?)なんか、やっぱりなみたいな。そんなショックはないですね。今までのことを見たり聞いたりとかしていたからか、落ちるとこまで落ちちゃったんだな、とかそういう感じで思いますけど…」
HBCは今村容疑者の複数の知人に話を聞きましたが、ほとんどの人が「関わり合いたくない」と口を閉ざしました。
<「罪悪感ないんでしょうね」無免許でひき逃げ事件 被害者の証言>
今村容疑者は2016年5月に札幌市白石区で出合い頭の衝突事故を起こして、現場から立ち去るひき逃げ事件を起こしていました。被害に遭った男性が当時の状況を語りました。
被害に遭った男性 「ほぼ出会い頭なんだけど、十字路の交差点でぶつかった。彼の車のほうが軽自動車でひっくり返った。私は妻と一緒に乗っていて、妻が、衝撃強かったので意識がなくなった感じだった。妻を見ながら外に出て、向こうの運転手も出てきたので、『警察に通報するからね』と声をかけると、電話かけている最中に走って逃げていった」「今村容疑者が運転していたのは(交際相手の)彼女の車だったんですけど、彼自体は当時、免許取り消しで無免許運転だった。僕は最初、飲酒運転で逃げたと思ったので、よくよく聞いたら免許がない状態」
今村容疑者はその後、ひき逃げなどの疑いで警察に逮捕されますが、男性のもとに謝罪に来ることはなかったと言います。
被害に遭った男性 「担当弁護士も、最後は居場所が分からないみたいな感じになって、(今村容疑者の)彼女だった女性に車の弁償の話とか保険の話をしたけれど、彼女も被害者と言えば被害者。(今村容疑者は)人をだますことも何とも思っていないでしょうし、罪悪感もないんでしょうね」
<指示役「ルフィ」の可能性があるとみられていた渡邊被告も、北海道で生まれ育ち…剣道で文武両道、ススキノでバイトの大学時代から“急変”>
全国で相次ぐ強盗事件との関連が捜査されている特殊詐欺グループの4人について、日本側は1月30日、フィリピン当局に強制送還を正式に要請しました。
一連の強盗事件で、指示役の「ルフィ」の可能性があるとみられていた、渡邊優樹被告39歳…北海道東部の別海町で生まれ育ち、隣りマチの中標津町の高校から札幌市近郊の大学へ進みました。 高校と大学の同級生は、大学時代、特に札幌市のススキノでアルバイトを始めてから「変わっていった」と話します。
【高校時代の同級生】 「実家は別海町の牧場で、剣道をしていて、高校時代、部の主将だった。クラスの中心人物で、明朗快活!それが大学に進んでから変わっていった」 「最後に会ったのは、20年くらい前…ススキノのニッカウヰスキーの看板のビルの前で、看板ぶら下げて立っていたのを見かけた」
【大学時代の同級生】 「明るく人気のある人だった。大学2年だったかな…ススキノでバイトを始めてから、学校に来なくなって、変わっていった。単位が足りなくて留年しているので、一緒に卒業してない。卒業したかどうかわからない。 卒業後、会っていないかったが、電話で「キャバクラで働かないか?」などと誘われたことがある」
<「優等生だったアイツがまさか!」幼なじみも驚き隠せず…28歳で逮捕>
そして、2012年4月、28歳のとき、渡邊被告は、札幌市中央区の男性の住宅から現金およそ1000万円などが盗まれた事件で、他の男3人とともに逮捕されます。
【幼なじみ】 「頭が良くて、優等生だったアイツがまさか!とビックリした。昔から女の子にモテてたし、男女誰からも人気者だった。中学時代、勉強もできるタイプで、みんなからは「優樹」と呼ばれてた。休み時間、一緒にバスケットボールをよくやったりしたのを思い出す」 「剣道部で文武両道。大学は、札幌に行ったところまでは聞いていたが、その後は分からず。ニュースを最初見たとき、まさか優樹が…って、ビックリ!友だちとも話題になった。どう見ても、そんなことをする人間と思ってなかったから。何が彼をそうさせたのかはわからない。優樹には、罪を償って欲しい」
【別海町の親族】 「最近会ったのは、いつ頃?10年前かな…どんな、お子さんでしたか?放送しているとおりですよ」
2月に強制送還が要請された4人のうち、3人が北海道出身です。 特殊詐欺事件だけでなく、一連の強盗事件をめぐる「ルフィ」などのアカウント名の指示役が、4人の中にいる可能性もあるとみて、警視庁は慎重に調べてきましたが、金の流れなどから、今村容疑者が指示役の「ルフィ」の可能性が高まったとみています。
<広域強盗事件の“実行役”で逮捕「臆病だった」男はナゼ…地元を離れ、札幌市で「闇カジノで借金、にっちもさっちもいかない」>
全国で相次いだ広域強盗事件…指示役「ルフィ」の可能性があるとされ、フィリピンの入管施設に収容されていた4人のうち、3人が北海道出身とされていますが、去年10月の東京都稲城市の事件で逮捕された実行犯の男も、北海道出身でした。
強盗傷害の疑いで、警視庁に逮捕された札幌市豊平区の建設作業員、石栗一樹被告37歳…北海道最北部の宗谷地方で生まれ育ち、2~3年ほど前に地元を離れ、札幌市に出たと言います。 地元の同級生や勤務先の同僚は、石栗被告の当時の印象について、一様に「真面目で温厚だった」と話します。 しかし、札幌市で働き始めてから賭け事にのめり込み、借金を重ねるようになっていました。
【同級生】 「お金を貸して欲しいという連絡は何度もあった。10万の時もあれば、200万の時も。生活には困ってた感じ。取り立てからの電話なのか、現場で、電話に出ないときが何度もあった。その時の顔を見たら、普通ではない感じだった」
【勤務先の社長】 「世に報道されているほど、地元にいた時は、悪いヤツではなかった。やはり、札幌で変わったと思う。石栗が辞めてから半年ぐらいは『石栗さんいますか』と怪しい電話がよく来た。おそらく、よくある催促の電話。借用書の現在の勤務先欄に書いていたんだと思う」
金に困った石栗被告は、親族にも無心をするようになります。
宗谷地方に住む親族の男性は、時おりLINEで「1万円貸して欲しい」などと連絡を受けていたと言います。
【親族の男性】 「おととし9月、突然『100万円都合付けてくれないか』と連絡が来た。理由を聞くと『闇カジノで借金した。にっちもさっちもいかない』と」
男性は、石栗被告に100万円を渡し、その後、連絡は取らなくなりました。石栗被告の逮捕は、周囲から言われて知ったということです。
【親族の男性】 「37歳にもなって、こんなことをやって情けない。臆病で、超えてはいけない一線は、わかっていると思っていたが…」
臆病だったという男は、借金苦から闇バイトとして強盗に手を染めたのか…事件の全容解明が待たれます。
<広域強盗に関与疑いの2人、関係者語るススキノで成功と転落…大学生で接待店を経営後「盗んだ金でバー、暴力団の小間使い」>
全国で相次いだ強盗事件…指示役「ルフィ」だった可能性のある北海道出身の2人は、十数年前、札幌市のススキノの飲食店の「若手経営者」でした。当時の2人を知る男性が、1月にHBCの取材に応じました。
北海道東部の別海町出身の渡邊優樹被告と、札幌市出身の今村磨人容疑者…どちらも、38歳です。
【2人を知る男性】 「渡邊被告を知ったのは、15、6年前。まだ彼は、大学生だったはずです。若い感じの好青年というか、非常に印象が良いというか。今、ニュースで見ている写真のイメージと違った。さわやかな感じでしたよ」 「今村容疑者を知ったのは、13年ぐらい前。ヤンチャなイメージでしたね、どっちかと言うと。体も大きかったので、圧がある感じ。盛り上げ役というイメージ」
剣道部の主将で、文武両道。北海道東部の中標津町の高校から、札幌市近郊の大学に進学していた渡邊被告は、当時、学生ながら経営者としてススキノでミュージックパブを始めたと言います。
【2人を知る男性】 「女性店もやっていた。すごく人気のある店でしたね。(パブを始めてから)数年後ぐらいにそれをやって、もう、ススキノでも有名な店だったんで。24、5歳ぐらいでやっていたのかな。結構、長い間やってましたよ。4~5年やったんじゃないかな」「(いわゆる接待を伴う飲食店?)そうですね」
当時を知る飲食店関係の女性は、渡邊被告の印象をこう語ります。
【飲食店関係の女性】 「(客は)若い人が多かったと思う。客の出入りは結構あった。(渡邉と話したことは?)挨拶程度はある。(印象は?)普通にちゃんと挨拶できる人。若いのにオーナーでちゃんとやってて、すごいなと思ってた」
一方、同じころ、今村容疑者もススキノで店を開きましたが、こちらは、長くは続かなかったといいます。
【2人を知る男性】 「飲食店やるって話になって、飲食店をやっていましたね。女性店じゃないですか。接待を伴うほう。ニュークラブというか、パブなのか。1年もやっていないんじゃないですか」
繁盛店のオーナーだった渡邊容疑者にも暗雲が…
【2人を知る男性】 「繁盛店を閉めた後、多分、商売やられていたと思うんですけど、それが上手くいかなかったんですかね。その後に店をやっていましたけど、その店が当時の店みたいに、ワーっと広まったイメージはなかったんで」
ススキノの事情に詳しい別の男性によると、渡邊被告はいくつかの店を経営したあと、風俗店グループで働いていたということです。
2012年には、窃盗事件で逮捕もされた渡邊被告…その後、ススキノで、再びバーを開きますが、長続きはしませんでした。
【2人を知る男性】 「バーをやっていた時は、窃盗したその金でやっていたという噂は聞いていました。ただ、すぐダメになっていたはずなんですよね。そのあたりから、もう、歯車狂ったんじゃないですか」
【別のススキノ関係者」 「渡邊被告の店には、暴力団の人が出入りしていた。小間使いのようなイメージ」
ススキノで、若手経営者として歩み始めた2人は、どこで道を踏み外したのでしょうか。
【2人を知る男性】 「そんな大掛かりなことできるような人なのかなって思っちゃって。いまだに本当なのかなって思っている。本当は違う人がやっているんじゃないかなぐらいの」 「彼らの判断で、彼らの考えた行為で、こんな国際問題みたいな、そこまでできる考えってあるのかなって思いますけどね」
<強盗の指示役「ルフィ」?北海道出身の男はかつてススキノで人気飲食店経営「やり手っぽいイメージでした」>
札幌出身の今村磨人(いまむら・きよと)容疑者は、全国で相次ぐ強盗事件への関与が疑われている人物のひとりです。今年2月7日、フィリピンのビクタン収容所から日本へ強制送還されました。
今村磨人容疑者(電話する様子) 「そんな簡単な話なんですけど、そこはリスクはないです。そいつらは詐欺で入手した金だから、わめくこともないです」
電話は、詐欺グループへの指示とみられます。 犯行グループの指示役の「ルフィ」は、警視庁の捜査で今村容疑者であることがわかりました。
2019年、ビクタン収容所には、日本からの要請で、フィリピン当局が拘束した36人の特殊詐欺グループがいました。 指示役の今村容疑者は、別の容疑で先に拘束され、すでに収容所にいました。 2021年、後から入ってきたのが、渡辺優樹被告でした。 収容所内で「ボス」と呼ばれ、今村容疑者の地元、札幌での友人だったといいます。ススキノで2人の軌跡を追いました。
渡辺優樹被告の店を知る人 「(業務形態は?)ニュークラブでした。(客層は)若い人が多かったと思う。(売れゆきや客の出入りは)結構あったと思う。若いのにオーナーでちゃんとやっていてすごいなと思っていた」
別海町出身の渡辺被告は、大学進学で札幌に。その後、ススキノのアルバイトで資金をつくり、飲食店を2店、開店しました。
渡辺被告を知る人 「やり手っぽいイメージでしたよ。若くして成功したんだなっていうか。ただ儲かっていたからって、いい気になっているイメージは全くない。羽振りよく見せるとか、そういうイメージはまったくなかった。悪い印象はまったくないです」「まあ、頭良さそうでしたよね、すごく。そういう所も長けているのかなって」
一方、今回再逮捕された、今村容疑者については。
渡辺被告の知人 「(今村容疑者は)接待を伴う方。ニュークラブというかパブなのか。1年くらい(営業を)やったんじゃないですか。やんちゃなイメージでしたけど知能犯的な感じのやんちゃというよりは、なんか、体も大きかったのでどっちかというと圧がある感じ」
警察庁は、同じグループの関与が疑われる強盗事件は、全国で数十件にのぼるとみていますが、その実行犯にも、北海道出身者がいます。
去年10月、東京・稲城市の住宅に宅配業者を装って押し入り、住人3人を粘着テープで縛って暴行し、現金3500万円と金塊が奪われた強盗事件がありました。 逮捕された8人のうちのひとりが、北海道出身の石栗一樹(いしぐり・かずき)被告でした。 さらに、石栗被告ら3人は、去年11月、山口県岩国市で住宅に押し入り、金品を奪おうとしましたが、住民の男性が日本刀で抵抗したため、未遂に終わった強盗事件にも加わっていたことがわかっています。
記者がインターネットで「闇バイト」と検索すると「募集者のアカウント」が出てきます。真偽はわかりませんが「即日即金」「全国どこでも1日5万から20万」などの文字が踊ります。 東京・稲城市の事件で、実行犯たちは、SNSの闇バイトに応募していました。「ルフィ」「キム」「ミツハシ」を名乗る人物から、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で犯行を指示されたといいます。 また、「実行役」「運転手役」「見張り役」「上位者との連絡役」など役割を分担し、実行役には100万から150万円、運転手役には80万円の報酬が約束されていたといいます。
北海道最北端のマチ、稚内市で生まれ育った石栗被告について、親族は2年前の様子を話しました。
記者リポート 「石栗被告の親族によりますと、札幌での生活に困り、100万円を貸して欲しいと連絡してくることもあったということです」
また、勤め先の同僚によると「性格は明るく、仕事にも熱心に取り組んでいた。2年ほど前、彼女と同棲するため、札幌へ行った」と言います。
犯罪ジャーナリスト 多田文明さん 「特殊詐欺に関していえば、闇バイトで実行犯を募集するということが行われているが、今回の強盗もまったく同じ。家に押し入る人間を、闇バイトを通じて募集する。指示系統も同じ。強盗しているひとりひとりは素人。ところが組織的なマニュアルとか指示があることで、プロ並みの強盗を短時間ですることができてしまう。これが非常に恐ろしい」
<広域強盗関与の疑い…北海道出身の男2人 早ければ7日にも日本に送還へ 容疑者の父親「一生刑務所に…」>
フィリピンの入管施設に収容されていた、特殊詐欺グループの北海道出身の男2人が、2月7日、日本に強制送還されました。
強制送還されたのは、特殊詐欺グループの指示役とみられる男4人のうち、北海道内出身の今村磨人(いまむら・きよと)容疑者38歳と、藤田聖也(ふじた・としや)被告38歳の2人です。
2人はどのような人物なのか…。 藤田被告は北海道南部の七飯町で生まれ育ちました。町内の小中学校に通い、その後、函館の高校に進学します。
石黒拓海記者 「藤田被告は高校を卒業、札幌に行って以来、両親とは関わらなくなったといいます」
藤田被告の父親は、HBCの取材に対し「最後に話したのは12年前。電話で口論になり、それ以来、連絡は取っていない。償いきれない過ちを犯したと自覚し、一生刑務所に入ってもらうしかない」と話しました。
一方、札幌出身の今村容疑者はかつて、札幌のススキノで飲食店の経営していました。しかし、店は長続きしなかったといいます。
知人男性 「ニュークラブというか、パブなのか。1年くらいやったのでは。やんちゃなイメージ。 体も大きかったので、圧がある感じ」
警視庁は今後、今村容疑者ら特殊詐欺グループ4人と、各地の強盗事件の関連を捜査し、グループと事件の全容解明を進める方針です。