次期衆院選に向け、野党各党が東京都内での活動に注力している。小選挙区の「10増10減」に伴って選挙区数が増えるためだ。自民、公明両党が東京での選挙協力解消などで対立を深めていることを好機とみて、反転攻勢につなげたい思惑もある。
立憲民主党の東京都連会長を務める長妻昭衆院議員は3日、「政治を変えてほしいという期待に応え、東京で勢力を拡大したい」と取材に意欲を示した。
東京は次期衆院選で、小選挙区数が5増の30になるほか、比例選の東京ブロック定数も2増の19となる。立民は2017年衆院選では小選挙区で4議席、21年では8議席を獲得した。現在、候補予定者が決まっているのは30選挙区のうち17選挙区にとどまるが、「首都での戦いが全体の流れを決める」(幹部)として、さらなる擁立に向けて準備を加速させている。
野党第1党を目指す日本維新の会も、都内の全小選挙区に候補を立てる方針だ。比例選と合わせた議席獲得目標を「7、8議席」と掲げ、都内での街頭演説会を積極的に開催している。「象徴区」と位置づける1区には、党幹部らを出馬させることも模索している。
共産党は、知名度の高い参院議員の田村智子政策委員長を比例東京ブロックにくら替えさせる。小選挙区の候補者と一緒に都内を回ることで、票の掘り起こしを図る狙いがある。
一方、次期衆院選での野党共闘は限定的となる見通しだ。立民の泉代表は共産との選挙協力を否定していた立場を「柔軟に考えたい」と軌道修正したが、共産の小池書記局長は3日の記者会見で「(従来の)発言の撤回が必要だ」と改めて不満を述べた。立民からは「野党候補者が乱立すれば共倒れになる」(中堅)との懸念も出ている。