東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=に対する贈賄罪に問われた広告会社「ADKホールディングス」(旧アサツーディ・ケイ)前社長、植野伸一被告(69)の判決公判で、東京地裁(友重雅裕裁判長)は12日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。植野被告側は初公判で起訴内容を認めていた。
一連の事件では5ルートで贈賄側と収賄側の計15人が起訴されており、判決が下されるのは植野被告で10人目。植野被告の部下2人を含め、10人にはいずれも地裁で有罪判決が言い渡されている。
起訴状によると、植野被告は部下2人と共謀し、大会スポンサー契約に関する支援業務を担えるよう後押ししてほしいなどと高橋被告に依頼。見返りに令和元年11月~4年1月、計1485万円の賄賂を提供した。公訴時効分を含む賄賂総額は計約4800万円に上る。
検察側は論告で、植野被告について「犯行を積極的に敢行した責任は最も重い」と指摘。これに対し弁護側は、高橋被告への資金提供に関し「『謝礼の趣旨を含んでいるかもしれない』という程度の認識だった」とし、違法性の認識が乏しかったとして、猶予判決を求めていた。